【群馬県高崎市・牧野酒造】伝統と革新の日本酒「大盃」は、備蓄米でも化ける。

【群馬県高崎市・牧野酒造】伝統と革新の日本酒「大盃」は、備蓄米でも化ける。

オンライン酒蔵留学レポート(牧野酒造)

オンライン酒蔵留学は、おうちにいながら地方の酒蔵さんとダイレクトにつながって、一緒に乾杯できる日本酒体験型サービスです。
作り手さんの想いや人柄も味わうことができ、日本酒を通して「人生の学び」や「新たなつながり」、そして「推し蔵」が生まれる場となります。

本記事では、これまでオンライン酒蔵留学にご出演していただいた酒蔵さんをご紹介!
この記事を通して、酒蔵さんの想いやこだわりについて是非触れてみてください♪

今回は、群馬県最古の酒蔵、300年以上の歴史を持つ「牧野酒造」をご紹介いたします♪

牧野酒造(まきのしゅぞう)について

牧野酒造外観
※牧野酒造外観
画像引用元:牧野酒造Instagram


「そんな米で酒が造れるわけがない」

日本酒業界の誰もが首を振ったその挑戦を引き受けた、そんな蔵の社長がいます。

群馬県高崎市の山あい、榛名山の麓にひっそりと佇む牧野酒造。
元禄三年(1690年)創業、群馬県最古の歴史を持つ酒蔵でもあります。

この老舗を現在率いる18代目・牧野顕二郎(まきのけんじろう)社長ですが、もともとは日本酒自体にあまり興味がない若者でした。
そんな牧野社長は今や、誰もやりたがらない挑戦にまで手を挙げ、次々に日本酒の固定化されたイメージを打ち破る酒を醸しています。一体、何があったのでしょうか。
例えば、のちにご紹介する、日本酒の静謐なイメージとはかけ離れた、筋肉をイメージした「マッチョ」シリーズや"パスタに合わせるための日本酒"。自社蒸留のウイスキーなど、老舗蔵に胡坐をかかないどころか、日本酒のイメージを刷新する酒造りに挑んでいます。

そしてそんな社長の先に待っていたのが、5年前の備蓄米で醸した常識破りの一本。

「みんなが無理だと言う中でも、自分ならできるなっていうギリギリのところがいい」と、 笑いながら語る社長の言葉の裏には、336年の伝統を背負いながらも「人と違うこと」を追い求め続ける姿勢がありました。

この記事では、牧野酒造の歴史から社長の素顔、そして常識を覆す挑戦の数々を、オンライン酒蔵留学で伺ったお話をもとにお届けします。

きっとあなたも牧野酒造のお酒を手に取りたくなっているはずです。

幕臣「小栗上野介(おぐりこうずけのすけ)」所縁の酒蔵。牧野酒造の歴史

牧野酒造 小栗上野介
※牧野酒造外観
画像引用元:牧野酒造Instagram

今から336年前の元禄三年(1690年)。
初代・牧野長兵衛(まきのちょうべえ)が、現在の群馬県高崎市倉渕町権田の地で酒造りを始めたのが、そのはじまりとなります。
ここは上毛三山のひとつ・榛名山の山麓から湧き出る清冽な伏流水と、上州名物のからっ風が吹きすさぶ厳寒の気候。

18代目・牧野社長は、
「うちの蔵がこの県内で1番古い蔵だっていうことは、やっぱりここの立地だとかいろんな条件があってこそ、今に至っているんだと思います」と、この土地の持つ力を語ってくれました。

そもそも創業当初の銘柄名は「長盛(ちょうせい)」。
「長く栄える」という願いを込めた名前で、江戸時代を通じてこの地の人々に親しまれてきました。
しかし、銘柄名が変わる大きな転機が訪れることになります。

時は幕末。万延元年(1860年代)のこと。
幕府の勘定奉行であった小栗上野介(おぐりこうずけのすけ)が、日米修好通商条約の批准のためにアメリカへ渡航することになりました。
これは今でいう、自由貿易の交渉であったり、関税交渉、さらには日本で罪を犯したアメリカ人をアメリカの法律で裁くといった、かなり重要な外交の場です。
そこになんと、その遣米使節団に牧野家の先祖が随行したのです。
なぜ、随行させたのか?それは、小栗上野介の領地内で、豪農・酒造家であった牧野家と極めて深い信頼関係があったためでした。
渡米する際も、牧野家が造った地酒をアメリカへ持参したと言い伝えられています。
では、これが、銘柄名が変わるきっかけになったというのは、どういうことでしょうか。
これは、帰国してからの出来事のようです。

社長曰く、「やはり、当時の船旅は危険なものです。だから、無事アメリカから帰ってきた際に大きい盃で祝盃を上げたということから、『大盃(おおさかずき)』という銘柄に改銘して現在に至るんです」とのこと。

命がけの航海から無事に帰還した喜びを、大きな盃に注いだ祝い酒——。「大盃」には、そんな歴史とこの国の大きな変革に携わった人々がからみあった、壮大なドラマが刻まれていると言えます。

ちなみに、牧野酒造の公式Webサイトには、使節団一行がアメリカの役人たちと映っている写真が掲載されています。使節団は、着物姿で刀を差しており、髷を結った姿。まだ武士が存在していた時代であることがよくわかります。

ただ当時、豪農であった牧野家ではありますが、創業当時からの336年の歩みは決して順風満帆ではありませんでした。長い歴史のその間には、飢饉、戦争、経済恐慌。幾度となく時代の荒波が押し寄せてきました。
しかし牧野酒造は生き抜いてきた。その理由を、
「330年の歴史の中にはもっと今以上のことが多分何度もあったんだと思うんです。でもそれを乗り越えて今に続いているっていうことは、やはり、その都度チャレンジをして、新しい時代の転換に対応してきたということだと思います」と、牧野社長は語ります。

ただ伝統を守るだけでは生き残れない。
時代ごとに社長が「変わる勇気」を持ち続けてきたからこそ、群馬最古の暖簾を守り抜くことができている、と。
そんな社長の言葉からは、先人たちへの深い敬意がにじみ出ていました。

ちなみに、先にご紹介した牧野家のご先祖が随行した小栗上野介(おぐりこうずけのすけ)は2027年のNHK大河ドラマの主人公(主演:松坂桃李さん)として描かれることが決定しています。

彼の業績ですが、
①1860年、日本初の遣米使節の目付役としてアメリカへ渡り、世界を一周。
②巨額費用がかかる横須賀製鉄所(造船所)の建設をフランスの協力で進める。
③郵便制度や鉄道建設、近代的な軍隊の整備などを提唱。
など、日本の近代化に多大なる貢献をした天才的な幕臣だったのです。

牧野酒造ではドラマ化の発表を受けて、いち早く「小栗上野介所縁の酒」を発売しています。
「やはり地元の蔵として何かやらなければと思って、発表があってすぐ取りかかりました」と、ここでも多様な変化に対応してきた、持ち前のフットワークの軽さを発揮しています。

さて、元禄の創業から幕末の改銘、そして令和の今になり、
「大盃」という銘柄には、時代を超えて杯を交わし、喜びを分かち合う——そんな人々の営みが刻まれているのです。

大盃 小栗上野介 所縁の酒
※大盃 小栗上野介 所縁の酒
画像引用元:牧野酒造オンラインショップ


2027年放送予定のNHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』を記念して造られた特別な純米吟醸酒。 この「大盃」は、関東信越国税局酒類鑑評会で4度の最優秀賞に輝くなど、品質本位の酒造りが高く評価されています。

本品は地元、群馬県産の酒造好適米「玉苗(たまなえ)」を使い、精米歩合60%、アルコール度数16度で丹念に醸造されています。
グラスに注ぐとメロンのような瑞々しい香りがふわりと漂い、ほんのりとした甘みと旨味が絶妙なバランスで調和しています。
飲み方も「常温、冷や、あるいはお燗」など、お好みの温度帯で楽しめる完成度の高い一本となっています!

オンリーワンを目指す18代目社長「牧野顕二郎」社長

牧野酒造18代目社長「牧野顕二郎」さん
※牧野酒造18代目社長「牧野顕二郎」社長
画像引用元:牧野酒造HP

群馬最古の酒蔵を率いる18代目社長・牧野顕二郎社長に改めて蔵を継いだ経緯を聞きました。

「わたし、名前に"二"って入ってるんで、次男なんですよね」

と語るように、本来であれば長男が蔵を継ぐのが自然な流れです。
ところが、2つ上の兄は高校3年生の時には医学部への進路が決まっていたそうです。

「2人兄弟なのでね、私しかもう継ぐものいないということで、半強制的にといいますか……。まぁ、継ぐしかないのかなぁ、という感じで決してポジティブではなかったんですよ」

なぜ、そう思ったのか。それは子供の頃から目の当たりにし、また感じていた日本酒業界の厳しさ。
「大変な業界だな」「日本酒って売れないんじゃないの」——。
そんな空気を肌で感じながら育った少年にとって、蔵を継ぐことは決して希望ではなく、使命感という名の重荷だったのでしょう。

社長は、東京農業大学の付属高校からそのまま大学へ進学することになりますが、大学時代もやはり日本酒への情熱は特に湧いてこなかったと言います。
「日本酒が美味しいとも全然思わなかったですし、お金もそんななかったからそんなに美味しいお酒も飲んでなかったんですよね」と、当時を振り返ります。

そんな牧野さんの人生を変えたのが、卒業後に修行先として訪れた静岡県の開運(土井酒造場)でした。

修行先を選んだ理由も特にシビアで積極的なものではなく、
「うちの親父が"いい酒だ"って言ったぐらいで...(笑)、快く受け入れていただけたっていうそんな感じで」と。
当時の社長には、どこの蔵のお酒が美味しいかという知識すらほとんどなかったそうです。

しかし、この「ふわっとした自然の流れのような」出会いが、すべてを変えました。

「たまたま修行させてもらったら、とても美味しかったんですよ。メロンみたいな、バナナみたいなフルーティなお酒を作っていて、そこですごく"あぁ、日本酒って美味しいんだな"と思って、うちもこういう酒を造んなきゃ、みたいな感じになりましたね」

蔵を継ぐことや酒を作ることに前向きではなかった彼の心にぽっと火が灯った瞬間でした。
その「開運」での2年間の修行は、技術だけでなく、酒造りへの向き合い方そのものを変えてくれたと牧野社長は言います。

「今でもその当時の杜氏さんが言ってたことを思い出すんです。その時は何のことかよく分からなかったんですけど、最近はたまに"ああ、あの時こう言ってたな"っていうのが分かるようになって」

師の言葉が、時間を超えて意味を持ち始める。
それは同時に、社長が自身が経験を重ね、造り手として成長してきた証でもあるのでしょう。

そんな牧野社長に、注目している酒蔵やライバルはいるのかと尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「一般的に評価されている酒蔵さんをすごいなってリスペクトしてるんですよ。自分もそういう酒蔵を目指していたんですけど、でもやっぱり同じにはなれないなって思ったんですよね、ある時から」

そして、こう続けます。

「他の人ではできないことでも、自分らしくというか、自分がぎりぎりでもやれるお酒が造れるといいかなぁ、と。1番になるよりもオンリーワンでいきたいと思ってます」

嫌々ながら飛び込んだ酒造りの世界で、修行先の美味しい一杯に心を掴まれ、そこから自分だけの道を切り拓いてきた牧野社長。
この「オンリーワン」の精神が、この先にご紹介する数々の挑戦的な商品を生み出す原動力になっているのです。

牧野酒造“オンリーワン”の挑戦
「マッチョ」と名付けられた低精白の日本酒や、パスタに合わせるための「SAKE DI PASTA」、さらには自社蒸留のウイスキーまで。
そんな牧野酒造の個性と挑戦を、オンライン酒蔵留学で伺ったお話とともに動画でご紹介します!

牧野酒造の「オンリーワン」の精神は、実際の商品にどのように表れているのでしょうか。
ここからは、動画でご紹介した牧野酒造ならではの挑戦を、もう少し詳しく見ていきます。

マッチョにパスタ!?牧野酒造の挑戦

低精白に挑戦。牧野酒造のマッチョシリーズ

牧野酒造 マッチョシリーズ
※牧野酒造 マッチョシリーズ
画像引用元:牧野酒造Instagram


「オンリーワン」を追い求める牧野社長の精神は、その商品ラインナップに確実に表れています。
中でも、日本酒ファンの間で特に話題を集めているのが「マッチョ」シリーズ。

マッチョ——。
そう、あの筋肉ムキムキの「マッチョ」です。
画像のとおり、アフロのおじさん、ゴリラ、雷神。ラベルに描かれたキャラクターたちは、日本酒のイメージからはおよそかけ離れています。

このユニークなシリーズが生まれたきっかけとしては、ふとした人とのつながり。

「このラベルをデザインしてくれたデザイナーさんと何気ない話をしている中で、彼は割とプロレスラーとか筋肉マンとか好きで、"マッチョな酒ってないですよね"ってボソっと言ったんですよね。で、それを私が聞き逃さずに、"マッチョの酒って何だろう"って考えて」とのこと。

そこから牧野さんは「低精米のお酒ってどうなんだろう」と深堀りしていきます。

「お米の外側にはタンパク質が多くあるんですけど、そのタンパク質をあまり磨かないお米で作ったお酒、タンパク質イコール筋肉でマッチョみたいな、そんなことを連想して作りました」

一般的に日本酒は、米を多く磨くほど雑味が減り、クリアで華やかな味わいになるとされています。
全国の酒蔵が大吟醸や純米大吟醸といった高精白の酒を追い求める中、牧野さんはあえて真逆の「低精白」(米をあまり磨かない)に舵を切ったのです。

とはいえ、低精白で美味しい酒を造ることは、容易ではありません。その理由として社長いわく、
「全国の酒蔵さんのほとんどって、吟醸を作る前提で技術を磨いてきたんですよ。で、磨かない『低精白の酒を作る技術っていうのは逆にないんです』。吟醸を作る技術で低精白の酒を作ると、やっぱり美味しくないものができあがるんですよね」

だからこそ、"低精白の米に対応した独自の酒造りが必要になる"ことを心がけているとのこと。
そんな低精白で作る技術を磨いた社長が、2017年に酒米「雄町(おまち)」の80%精米(20%しか磨いていない)で世に出した最初のマッチョ。当初は夏限定の単発商品でした。

「シリーズにしてくっていう考えは最初あまりなかったんですよ。でも、とりあえず出してみたら、とても評判が良かったので、そこからシリーズ化していった感じですね」

最初の一本の酒米に「雄町」を選んだ理由もまた、牧野さんらしいユニークな発想でした。
「雄町って"雄"っていう字が入ってるからちょっと男らしいイメージがして、雄町を使った80%ならマッチョって言えるかなと」

こうして遊び心も込められて生まれた「マッチョシリーズ」は、低精白ならではの旨味がしっかりと感じられる、個性豊かな純米酒として支持を広げていきました。

パスタの街”高崎”ならではの日本酒「SAKE DI PASTA」

牧野酒造 SAKE DI PASTA
※牧野酒造 SAKE DI PASTA
画像引用元:牧野酒造オンラインショップ


マッチョシリーズと並んで、牧野酒造の「攻め」の姿勢を象徴する商品がもうひとつあります。
それが、「SAKE DI PASTA」シリーズです。

牧野酒造がある高崎市は知る人ぞ知る「パスタの街」ってご存じでしたか?
実は人口あたりのパスタ店の数が全国でもトップクラスと言われる高崎市。地元の酒蔵として地域に何ができるのか——。

「"パスタの街って言われている高崎"に貢献できる商品開発もしたいなっていうところから生まれたんですけど」と牧野社長は発想の原点を語ります。

しかし、このシリーズに込めた想いは「地元貢献」だけではなく、日本酒の可能性をもっと広げたいという強い思いがあったようです。

「日本酒=和食ってすぐ選びがちだと思うんですけど、日本酒っていろんなものに合うんですよ。逆に合わないものの方が少ないのが日本酒じゃないかなと思っているんです」

けれども、現実はどうか。

「イタリアンのお店に入っても、メニューに日本酒ってほとんどないと思うんですよね。ちょこっと1銘柄ぐらいはあるかもしれないですけど。で、お客さんも日本酒を頼む人はほとんどいない」

確かに、筆者自身もパスタやピザに日本酒を合わせたことはなく、「ワイン」という固定観念がありましたので、この言葉にはちょっとはっとさせられました。
日本酒はどんな料理にも寄り添える設計ができる懐の深いお酒。
けれども、「日本酒=和食」というイメージが壁になって、その魅力が届いていないということを牧野社長はいち早く気づいていたと言えるでしょう。
その壁を壊すために生まれたのが、パスタのソース別に設計された3本のお酒。

「パスタのソースごとにアルコールの濃淡で分けてるんです。バジル系のパスタであれば割とライトなお酒で合わせてもらうようなものを出してますし、トマト系にはトマト系で、クリーム系のような濃いものには濃いお酒で作ってあるんです」

バジル・オイル系には「Light!!」、トマト系には「Smooth!!」、クリーム系には「Mellow!!」。
それぞれのパスタの味わいに寄り添うように、香りの強さや旨味の厚みが丁寧に設計されているんです。

そして牧野社長は、このシリーズに込めた本当の願いをこう語ってくださいました。

「日本酒のイメージに縛られずに、日本酒を楽しんでもらいたい。そんなコンセプトです」

パスタの街・高崎に根を張る酒蔵だからこそ生まれた一本。固定概念を打ち破る酒。
今夜のパスタに、ワインではなく「SAKE DI PASTA」を合わせてみてはいかがでしょう。それだけで、あなたの日本酒の世界はぐっと広がるはずです。

牧野酒造のウイスキー「倉渕(くらぶち)」

倉渕 MALT & SAKE LEES

※倉渕 MALT & SAKE LEES
画像引用元:牧野酒造オンラインショップ


日本酒、焼酎、梅酒——。
牧野酒造の挑戦は、それだけに留まりません。
実はウイスキーの蒸留にまで手を広げているのです。

ブランド名は「倉渕(くらぶち)」
蔵のある群馬県高崎市『倉渕町』の地名をそのまま冠した、土地への愛着がにじむ名前。

「昔からちょっとウイスキーが好きな方で、いつか作ってみたいなっていうぐらいには思ってたんです。ただ設備もかかるし、日本酒の方がなかなか大変だったので、ウィスキーを作る余裕がなかなかなかったんです」

しかしその転機が訪れたのは、コロナ禍のこと。
参入できそうなタイミングが重なり、少量ながらウイスキーの蒸留を開始します。

この倉渕シリーズの最大の特徴は、「ウイスキーの蒸留所だと、ブレンデッドウィスキーなんかだと、海外で蒸留したウイスキーを輸入してブレンドして出してるところが結構多くて一般的なんですけど、うちは全て自社で蒸留したものだけでやっています」というこだわり。

現在のラインナップは2種類。
樽にあえて寝かせない透明な「倉渕 NEW MAKE(ニューメイク)」と、そして日本酒蔵ならではの個性が光る「倉渕 MALT&SAKE LEES(モルトアンドサケリーズ)」のブレンデッドウイスキー。

中でも注目すべきは、この「MALT&SAKE LEES(モルトアンドサケリーズ)」。LEES(リーズ)とは酒粕のこと。
自社で蒸留したウイスキーと、酒粕を発酵させて作ったクラフトスピリッツをブレンドした一本です。
これこそまさに日本酒蔵だからこそ生み出せる、唯一無二のウイスキー。

「酒粕の香りがするかっていうと、しないと思いますね(笑)。でも、しっかり作った酒粕のスピリッツって結構華やかな香りがするんですよ。ちょっと日本酒のような香りがしますね」

それぞれが数量限定のため、見つけたら即買いが鉄則の一本!日本酒の蔵が醸すウイスキーという新たな領域にも、牧野社長の「人と違うこと」への執念が宿っているシリーズです。

倉渕 NEW MAKE
倉渕 NEW MAKE
※画像引用元:牧野酒造オンラインショップ


「倉渕 NEW MAKE」最大の魅力は、蒸留されたばかりの原酒をあえて樽に寝かせず、無色透明状態のままの状態のままボトリングしている点。
ウィスキーへの固定観念を覆したような美しさです。
通常のウイスキーは樽で長期間熟成させることで琥珀色に変化し、樽特有の香りをまといますが、
「倉渕 NEW MAKE」は樽熟成を経る前の「生まれたてのウイスキー」そのもの。
熟成前のピュアで力強い香りと、蒸留酒本来のダイレクトな味わいをそのまま堪能することができる1本です。


【牧野酒造】
370-3401
群馬県高崎市倉渕町権田2625-1
TEL: 027-378-2011
FAX: 027-378-3954
HP:https://makino-sake.co.jp/
オンラインショップ:https://www.makino-sake.jp/

牧野酒造の挑戦!備蓄米の日本酒を紹介♪

備蓄米から日本酒!?「大盃 古古古古古米」の秘密
「備蓄米で日本酒なんて、本当に造れるの?」
そんな疑問から生まれたのが、牧野酒造の「大盃 古古古古古米」。
なぜ牧野酒造は、備蓄米で美味しい日本酒を造ることができたのか?
その秘密と「大盃 古古古古古米」に込められた遊び心を、動画でご紹介します!

大盃 古古古古古米

大盃 古古古古古米
※大盃 古古古古古米
画像引用元:牧野酒造Instagram

ここまで、牧野酒造の歴史や牧野社長の人柄、そして数々のユニークな挑戦をお伝えしてきました。

しかし、この記事のタイトルを改めてご確認いただけないでしょうか。
「伝統と革新の日本酒『大盃』は、備蓄米でも化ける」——。

「人と違うこと」を追い求めてきたその先に待っていたのは、誰もが「こんな米で造れるわけがない」と口を揃えた、5年前の備蓄米。
それが常識を覆した一本、「大盃 古古古古古米(ここここここまい)」を使ったお酒なのです。
まだ記憶に新しい2024年、日本中を揺るがせた「令和の米騒動」。
米の価格が高騰し、スーパーの棚からお米が消えたあの夏を、皆さんもよく覚えているのではないでしょうか。

この事態を受けて、政府は2025年に備蓄米の放出に踏み切りました。
当初は食用として市場に出されていた備蓄米ですが、最終的にごくわずかな量が日本酒の原料としても放出されました。
しかし、その中身を聞いて多くの蔵が二の足を踏みます。
放出されたのは、令和2年産——つまり5年前のお米だったからです
しかも、それは最も古い備蓄米として最後の最後に放出されたもの。

「多くの蔵が"そんな古米で作れるわけない"っていう感じだったのかなと思うんですけど...」と、牧野さんは振り返りながら、こう続けます。

「実は、過去に古米、古古米ぐらいを使ったことがあって、そんなに問題なく作れるなっていう、経験から来る自信みたいのがあったんですよね。5年前といっても玄米のまま冷蔵されているものなので、問題はないんじゃなかろうかと」と、チャレンジすることを決意しました。

日本でわずか3蔵だけが手を挙げた、備蓄米での酒造り。その中の1蔵が、牧野酒造でした。

ただ経験があったとはいえ、やはり古い米には古い米なりの難しさがあると言います。

「お米が古くなるに従って、カリウムがお米の中心に少し入っていくんです。その影響で発酵させた時に酵母の発酵が旺盛になるので、"すごく辛めのお酒に仕上がりやすい"という特徴があります」

"辛くなりすぎる"ということ。それが備蓄米の最大のリスクなのですが、牧野社長は、
「その辺は知識としてあったので、辛くなりすぎないように、しっかり旨味の残るお酒になるように工夫して作りました」と語るように、すでに計算済みだったようです。

そして仕上がった一本は、その名も「大盃 古古古古古米(ここここここまい)」
古米を表す「古」の字が5つ並んだ、インパクト抜群で正直すぎる銘柄名ですね(笑)

ラベルに描かれているのは、鶏(にわとり)なのですが、ここにも牧野社長らしいユニークで、ちょっとシニカルな理由がありました。

「古古古古古米なので、鳥の鳴き声"コケコッコー"を連想したんです。あとは、国会で備蓄米の放出が取り上げられた時に、"5年を過ぎると飼料用に回される"って野党が発言して炎上したじゃないですか。そういうところからちょっとブラックジョークというか、風刺も込めて鶏にしました」と、言います。

さて、その「古古古古古米」の肝心の味わいはどうなのでしょう。
普通に考えると、5年前の米と聞くと「古臭いんじゃないか」「ぬか臭いのでは」と身構えてしまうかもしれません。

ところが——。

オンライン酒蔵留学で実際に飲んだ参加者たちからは、驚きの声が相次ぎました。

5年前の米とは思えない味でびっくりしました。古米と書いてなければ分からないぐらい美味しいスパークリングの日本酒になってる」とか、
「しゅわしゅわ感があって、本当においしいです!」。
「もっと熟成感のある、"どぶろく"っぽいものを想像していたのに全然違う。むしろフレッシュで飲みやすいです

といった感想が挙がりました!
それは、牧野酒造の独自の瓶詰め技術。瓶に閉じ込められた発酵由来のガス感が、口の中でシュワシュワと弾け、爽やかな旨味が広がるんです。
備蓄米であることを忘れさせるほどのフレッシュ感と、しっかりとした旨味の両立。
低精白の酒造りで培った牧野さんの独自の技術があってこそ成し得た味わいと言えます。

では、この備蓄米シリーズは今後も続けるのでしょうか?という問いに対して、

「正直、今のところ考えてないんです。5年前のお米なんて聞いたことないし、安定して手に入るとは思えないので。お客さんが喜んでくれるかな、面白がってくれるかなと思って作ってみたっていうのが正直なところです」とのこと。

PR的な意味合いもあったと正直に語る牧野さん。
しかし、そのPR戦略は見事に的中したと言えます。
「備蓄米で酒を造った」という話題性と、「飲んでみたら古米とは思えないほど美味しかった」という確かな結果を残したのです。

「みんなが"無理だ"と言う中でも、自分ならできるなっていうギリギリのところがいい」

冒頭でもご紹介したこの言葉の意味が、ここでようやくはっきりと響いてきます。
備蓄米という誰もが避けた素材に、336年の伝統と「オンリーワン」の精神で挑んだ一本。
「大盃 古古古古古米」は、牧野酒造の「伝統と革新」を一杯に凝縮した、まさに象徴的なお酒といえるでしょう。

■大盃 古古古古古米 スペック■

原材料 米(国産)・米麹(国産米)
精米歩合 70%
アルコール度 14度

牧野酒造Q&A

「大盃」という銘柄の由来は何ですか?
幕末に幕臣・小栗上野介の遣米使節団に牧野家の先祖が随行した際、命がけの航海から無事に帰国したことを祝って大きな盃で祝宴を上げたという故事にちなみ、「長盛」から「大盃」へと改銘されました。
牧野酒造の代表的な銘柄「大盃 小栗上野介 所縁の酒」の特徴は?
2027年のNHK大河ドラマの主人公となる小栗上野介を記念して造られた純米吟醸酒です。群馬県産の酒造好適米「玉苗」を60%精米で使用し、メロンのような瑞々しい香りと、ほんのりとした甘み・旨味のバランスが楽しめます。
牧野酒造のユニークな挑戦や商品にはどのようなものがありますか?
筋肉をイメージしたユニークなラベルの「マッチョ」シリーズをはじめ、パスタに合わせるための日本酒、自社蒸留のウイスキー「倉渕」、さらには備蓄米を用いた常識破りの日本酒造りなど、オンリーワンを目指した独自の挑戦を続けています。

まとめ

群馬県高崎市倉渕町に佇む牧野酒造は、元禄3年(1690年)創業という群馬県最古の歴史を誇る老舗酒蔵。
榛名山の伏流水と厳寒の気候に恵まれたこの地で、創業当時は「長盛」の銘柄で親しまれていました。
大きな転機となったのは幕末の万延元年(1860年代)、幕臣・小栗上野介の遣米使節団に牧野家の先祖が随行したことです。
危険な航海から無事に帰国した際、大きな盃で祝盃を上げたことから、現在の看板銘柄「大盃(おおさかずき)」へと改銘されました。330年以上の歩みの中で飢饉や戦争などの試練を乗り越えてきた背景には、時代ごとに新しい変化に対応してきた挑戦の歴史があります。

現在蔵を率いる18代目社長・牧野顕二郎氏は、修行先の静岡県「開運」でフルーティーで美味しい日本酒に出会ったことをきっかけに酒造りへの情熱に目覚めました。「1番よりもオンリーワン」を目指す姿勢から、業界の常識を覆す商品を次々と誕生させています。
一例として代表的なのが、あえて米を磨かない低精白米(精米歩合80%など)を使用し、米のタンパク質(筋肉)に着目した純米酒「マッチョ」シリーズ。
他にも、地元・高崎市が「パスタの街」であることに着目し、バジルやトマト、クリームなどのソース別に味わいを設計した「SAKE DI PASTA」や、自社蒸留にこだわったクラフトウイスキー「倉渕」など、日本酒の固定概念を打破する酒造りを展開しています。

牧野酒造の挑戦心を象徴するのが、2024年に手掛けた「大盃 古古古古古米(ここここここまい)」です。
令和の米騒動の際に放出された5年前(令和2年産)の備蓄米に対し、多くの酒蔵が二の足を踏む中、全国でわずか3蔵だけが手を挙げました。
古米特有の発酵の難しさを高度な技術でコントロールし、古米のイメージを覆すフレッシュでシュワシュワとした心地よいスパークリング日本酒を完成させました。

「誰もが無理だと言うことでも、自分ならできるギリギリに挑みたい」と語る牧野社長。
330年以上の伝統を守る真の強さは、伝統に甘んじることなく新しい時代に合わせて「変わる勇気」を持ち続ける革新の精神の中に息づいています。

オンライン酒蔵留学に参加するには?


「もっと酒蔵さんの想いを知りたい!」「オンライン酒蔵留学に興味がある!」という方は、下記よりご参加ください!
毎月異なる酒蔵さんとダイレクトにお話が出来る貴重な場となりますので、推せる蔵が見つかるかもしれませんよ♪
是非皆さんのご参加お待ちしております!

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オンライン酒蔵留学の流れ

①事前にお酒が届く!
・オンライン酒蔵留学をお申し込み後、ご自宅にお酒をお届け。

②オンライン酒蔵留学に参加!
・つくり手さんと乾杯!(ZOOMまたはYouTube LIVE)
・前後半に分けて皆さんと交流しながら推し蔵ポイントを探る。

③全国に飲み友達が出来る!
・オンラインで全国の日本酒ファンと情報交換し、飲み友達が出来る。

過去のオンライン酒蔵留学の様子をまとめたレポートは記事はこちらからご覧いただけますので、是非参考にしてみてください!
↓ ↓ ↓

つくり手さんと「つながる」
つくり手さんの想いを「のぞく」
自分たちの世界観を「ひろげる」

次回もハンズオンポーズで乾杯!

※過去のレポート記事はこちらから!!

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とも 日本酒ライター ラジオ番組制作者を経て、Web・EC事業に長らく携わっています。
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じゅん 日本酒ライター ものづくりに携わっている傍ら日本酒ライターをしています。
日本酒の美味しさに目覚め、すっかり虜になりました。
是非、日本酒の文化を広めていきたいです♪

趣味:ガラス細工、旅行、フットサル
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