【酒蔵社長・杜氏の一問一答シリーズ】そもそも純米、吟醸、大吟醸とは?
日本酒にあまり詳しくなくても、「純米」「吟醸」「大吟醸」という言葉を聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか?
でも、「純米・吟醸・大吟醸の意味や違いを説明してみて!」と言われると、ハッキリと答えられない方もいるかもしれませんね。
そんな方たちのために、筆者こと、私まっすーが、酒蔵杜氏に解説をお願いしちゃいました!今回直々に説明してくださったのは、酒蔵杜氏基峰鶴の小森さんです。
さすが日本酒の専門家!「純米」「吟醸」「大吟醸」の条件や造り方、味の違いや「精米歩合とは」という基本知識などをわかりやすく解説していただきました。
せっかくなので、この記事でしっかりと日本酒の知識を知ってから、美酒に酔いましょう。
目次
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日本酒の種類をわかりやすく解説
https://www.nanbubijin.co.jp/products/
日本酒と言っても種類によって香りや味わいは違うもの。日本酒の種類に詳しくなれば、その分、お酒の嗜み方もグンとレベルアップしますよね!そこで、日本酒の種類を大きく3つに分けて解説します!
純米酒
純米酒は、米と米こうじで造られた極めて純粋な日本酒です。原材料がシンプルだからこそ、米本来のうまみがギュっと凝縮されています。その結果として、濃厚なコクが際立ち、米の甘味と香りをしっかりと感じられる味わいに仕上がるのですね。
また個性豊かな日本酒が豊富に揃っていることも特徴の一つ。これは添加物がないため、使用米の特性がそのまま伝わりやすくなるのが理由です。
本醸造酒
本醸造酒は、純米酒に醸造アルコールを加えたものを言います。醸造アルコールとは、サトウキビなどの植物由来を原料とした蒸留酒。度数がほぼ100%の純度の高いアルコールで、日本酒に添加する際はアルコール度数を調整します。添加する量は、本醸造酒の場合、白米の総重量に対して10%以内と決められています。
醸造アルコールを添加する目的は、品質の安定化と味わいに変化を持たせること。風味が極めてクリアなため、添加しても米の香りや味に影響を及ぼすことはありません。
普通酒
日本酒は「特定名称酒」と呼ばれるものと、それ以外のものに区別されます。特定名称酒は原料や精米歩合などが既定の範囲内にあるもので、純米酒や本醸造酒がそれにあてはまります。そして特定名称酒以外のものが、普通酒と呼ばれます。
普通酒は種類が豊富でクセのない味わいが特徴的。細かな基準がないため、リーズナブルな価格が揃っています。普通酒は、ラベルに「純米」「本醸造」「吟醸」などの表示がないもので判断できますよ。
精米歩合とは
https://www.ienomistyle.com/sakeguide/20180703-509
醸造アルコールを添加して造られる日本酒には、大きく分けて本醸造酒・吟醸酒・普通酒があります。その中でも、醸造アルコールの使用度数が10%以下のものは、本醸造酒と吟醸酒に区別されます。
本醸造酒と吟醸酒の違いは製造方法と精米歩合。では、精米歩合とは何のことでしょうか?
そこで、詳しく解説したいと思います!
吟醸と大吟醸の違いは
吟醸酒が本醸造酒と区別される大きな違いの一つに「吟醸造り」があります。吟醸造りとは伝統的な製法で、「吟香」とも呼ばれる芳香性の高い味わいに仕上げる製造方法です。
使用米を60%以下に精米し、低温でじっくり時間をかけて発酵させます。これによって米が持つ香味が浮き上がります。吟醸造りでは高度な技術が求められ、酵母は吟醸造り専用のものが使われます。
吟醸酒と大吟醸酒はどちらも吟醸造りです。では、吟醸と大吟醸の違いは何かというと、精米歩合。吟醸の精米歩合は60%以下、大吟醸は50%以下に決められています。
吟醸、大吟醸、特別純米などを表を使って解説
吟醸、大吟醸、特別純米などの違いをよりわかりやすくするために、下記の表を用意しました。これは国税庁が発表した令和3年のデータに基づいて作成したものです。
このデータに沿って解説します。
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2021/pdf/058.pdf
特定名称 |
使用原料 |
精米歩合 |
こうじ米の使用割合 |
香味等の要件 |
吟醸酒 |
米、米こうじ、醸造アルコール |
60%以下 |
15%以上 |
吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 |
大吟醸酒 |
米、米こうじ、醸造アルコール |
50%以下 |
15%以上 |
吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好 |
純米酒 |
米、米こうじ |
― |
15%以上 |
香味、色沢が良好 |
純米吟醸酒 |
米、米こうじ |
60%以下 |
15%以上 |
吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 |
純米大吟醸酒 |
米、米こうじ |
50%以下 |
15%以上 |
吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好 |
特別純米酒 |
米、米こうじ |
60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) |
15%以上 |
香味、色沢が特に良好 |
本醸造酒 |
米、米こうじ、醸造アルコール |
70%以下 |
15%以上 |
香味、色沢が良好 |
特別本醸造酒 |
米、米こうじ、醸造アルコール |
60%以下又は特別な製造方法(要説明表示) |
15%以上 |
香味、色沢が特に良好 |
吟醸と大吟醸の原材料は、まったく同じで米・米こうじ・醸造アルコールです。米こうじの元になる米を「こうじ米」と言いますが、この使用割合はどの種類でも一定して15%以上と決まっています。
精米歩合とは、製造工程において行われる使用米の精米(磨き・削り)の度合いを示すもので、もともとの玄米に対する重量の割合を数値として表します。精米歩合の数値が低いほど、より磨かれていることになります。
米の中心部分にはデンプン質があり、これがより美味しい日本酒に寄与すると言われています。収穫された玄米の表皮には雑味を出す成分があるため、米を削る度合いが大きいほど、でんぷん質から生まれる日本酒の甘みが活かされることになります。
吟醸酒と大吟醸酒の精米歩合は10%以上の差がありますが、大吟醸酒の方が吟醸酒よりも手間をかけて精米しているため、より芳醇な吟醸香で、「色沢」と呼ばれる日本酒の色と透明感も、さらに高くなります。
一方、純米酒にも純米吟醸酒と純米大吟醸酒があります。これらは原料が米・米こうじのみで、吟醸造りで醸した日本酒です。特別純米酒は、少し複雑になります。「精米歩合60%以下又は特別な製造方法」の純米酒で、特別な製法で造った場合はラベルに説明書きしなければなりません。「特別な製造方法」に明確な基準はないため、酒蔵の特徴を楽しめるお酒です。
純米・吟醸・大吟醸などの味の違い
https://hanasakebar.com/rice-polishing/
原材料や製造方法などの観点から、純米酒・吟醸酒・大吟醸酒の違いを見てきましたが、味の違いはどうでしょうか?
これらの違いを見てみましょう。
純米の味の解説
米のうまみがグッと感じられるのが純米酒の最大の特徴。まろやかな熟成感があり、ふっくらと炊きあげられた米のイメージに直結するような甘い香りと、強いうまみが感じられます。純米酒には、心地よい口当たりで、濃厚な味わいが多く見られます。
とは言え、純米酒は、甘みのある深い味わいから辛口の淡麗な味わい、しっかりとした酸味やの喉ごし良いキレまでバラエティに富んでいるため、好みの味を探しやすいとも言えます。
また、純米酒の中でも、純米吟醸・純米大吟醸の場合には、濃厚なコクにフルーティさが加わるため、奥行きのある味わいを堪能することができます。
吟醸の味の解説
吟醸酒の特徴は、吟醸造りと醸造アルコールが含まれていること。もろみに適量の醸造アルコールを加えると、香りが高まり、スッキリとした味わいになります。さらに吟醸造りで醸した日本酒は、低温発酵することで、もろみの中に含まれる香り成分が蒸発することなくアルコールに溶け出し、華やかでフルーティな香りが生まれるのです。
酒質によって、奥行きのある柔らかいフルーティな香り、爽やかな果実酒のようなフレッシュな香り、しっとりとした口当たりやスッキリとした味わいなど、さまざまなものがあります。
大吟醸の味の解説
大吟醸酒も吟醸酒と同じ原料と製法のため、基本的には吟醸酒の香りや味わいと似ていますが、吟醸酒よりも精米歩合が高く雑味を限りなく排除しているので、さらにピュアな部分が引き出されます。
果実や花の香り、透明感のある高貴な香りが多く見られます。甘さと酸味のバランスがよく、繊細で可憐な余韻が添えられるのも特徴的。そのほか飲み方によっても変化があり、冷酒では軽やかな余韻や、熱燗では口の中でフワっと甘みが広がるものなど多様です。
気品のある香りを楽しむためには、スパイシーな料理や強い風味の料理よりも、素材のうまみや風味がそのまま活かされた料理がマッチしやすいです。
精米歩合による味の違いを体感できる3本セットのご紹介「佐賀県基山町・基峰鶴」
日本酒の種類や違い、精米歩合などの基本知識がわかったところで、核心に迫りましょう!
今回は、精米歩合による味の違いを飲み比べできる佐賀県基山町基峰鶴の日本酒3本セットをご紹介します。
佐賀県基山町基峰鶴について
福岡県との県堺にある基山町。近隣の地主たちが共同で酒造りを始めたのが基山商店の前身です。明治初期から続く酒蔵から生まれたのが、基山商店を代表する銘柄の一つ「基峰鶴」です。基肄(きい)城から基山の山懐を悠然と舞う鶴の姿から命名された銘柄は、まさに優美そのものです。
そして、基山商店のこだわりは原料米。酒米の最高峰山田錦のみから醸した純米酒は、代々受け継がれた品質重視の精神のもと贅沢に仕上げられています。それも「地元の人に旨い酒を飲ませたい」という一心で酒造りを行ってきた証です。
代表銘柄は「基峰鶴 純米吟醸 山田錦」「基峰鶴 純米大吟醸 山田錦」「.純米酒 背振湧水」。
- 合資会社基山商店
- 佐賀県三養基郡基山町大字宮浦151
- TEL: 0942-92-2300
- ホームページは、こちら
小森ご姉弟について
大正9年(1920)に法人化し合資会社基山商店となった酒蔵は、2020年で100周年を迎えました。その酒蔵で伝統の日本酒造りを担う杜氏小森賢一郎さん。酒蔵で指揮を執る姿は真剣そのものです。日本酒造りにかける想いが、ひたむきに打ち込む実直な姿勢に、そのまま映し出されています。
小森さんが杜氏になったのも、進みゆく時代の流れに適応するためのこと。経営者みずからが直接お客様の声に耳を傾け、それを商品に取り入れることが酒元の使命であるという思いが込められています。
日本酒は日本の伝統文化。それを守るだけではなく、日々進化していくことを心がけている小森ご姉弟の眼差しは、日本酒造りの未来に向けられています。
今回ご紹介するお酒
今回紹介するお酒は下記の3つ。基山商店の代表銘柄です。
- 純米酒 | 背振湧水(一合)
- 純米吟醸 | 基峰鶴 純米吟醸 山田錦(一合)
- 純米大吟醸 | 基峰鶴 純米大吟醸 山田錦(一合)
純米酒 | 脊振湧水
地元契約農家栽培の山田錦を100%使用した基山町らしさがでたお酒。
山田錦の甘みと落ち着いた香りが口の中いっぱいに広がり、 優しくシャープに切れる味わい。
★ 2019年 全米日本酒歓評会 純米酒の部グランプリ受賞
- お酒:脊振湧水
- 使用米:山田錦
- 精米歩合:60%
- おすすめの飲み方:冷や、常温、熱燗
純米吟醸 | 基峰鶴 純米吟醸 山田錦
爽やかでフルーティな口当たりが印象的なお酒。
シルキーな旨味があり、のど越しは軽やかですっきりと切れる感じをお楽しみいただきたい!
純米吟醸の山田錦だからこそ味わえる甘みと抑えられた酸味とのバランスが良いお酒。
★2017年 Kura Master プラチナ賞
★2020年 Kura Master 山田錦の部 プラチナ賞Top2
★2021年 Kura Master 純米大吟醸酒部門 金賞
- お酒:基峰鶴 純米吟醸山田錦
- 使用米:山田錦
- 精米歩合:50%
- おすすめの飲み方:冷や、常温、熱燗
純米大吟醸 | 基峰鶴 純米大吟醸 山田錦
基山商店さんの最高級品のお酒!
精米歩合を35%まで削っており、香り、味わい、余韻そして後味・キレといいハイレベルでまとまりのある純米大吟醸。
華やかでフルーティな吟醸香があり、 優しく膨らみのある旨味をご堪能ください。
★2018年 福岡国税局 鑑評会 吟醸酒の部 大賞 受賞酒
- お酒:基峰鶴 純米大吟醸 山田錦
- 使用米:山田錦
- 精米歩合:35%
- おすすめの飲み方:冷や、常温
いかがでしたでしょうか?
精米歩合の違いで変わる日本酒の味を知ると、本当にお酒って摩訶不思議な世界だなと感じます。
皆様も是非お試しください。
これからも酒蔵社長・杜氏の一問一答シリーズを続けていきますので、乞うご期待ください♪
酒蔵の社長・杜氏とおうちで交流するならハンズオンローカルSAKE
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