オンライン酒蔵留学レポート
オンライン酒蔵留学は、おうちにいながら地方のお酒の作り手さんとダイレクトにつながって、一緒に乾杯できる日本酒通販サービスです。
作り手さんの想いや人柄も味わうことができ、日本酒を通して「人生の学び」や「新たなつながり」、そして「推し蔵」が生まれる場となります。
本記事では、これまでオンライン酒蔵留学にご出演していただいた酒蔵さんをご紹介!
この記事を通して、酒蔵さんの想いやこだわりについて是非触れてみてください♪
今回は、第22回オンライン酒蔵留学にご出演いただいたLIBROM(福岡県)をご紹介いたします♪
LIBROM(リブロム)について

福岡市の都会の真ん中、高砂(たかさご)の一角に、これまでの日本酒の常識を鮮やかに塗り替えているバー併設型醸造所があります。
その名は「LIBROM(リブロム)Craft Sake Brewery」。
2021年、「お酒に馴染みのない層や女性に関心をもってもらいたい。」という想いから、天神からアクセスの良い街中に開業。
その挑戦的で常識に囚われない魂は、日本酒の新しい可能性を期待せざるを得ません。
「LIBROM(リブロム)」という社名には、イタリア語の2つの言葉が込められています。
LIBERTA(リベルタ):自由
ROMANZO(ロマンゾ):ロマン
柳生(やぎゅう)社長と醸造責任者の穴見(あなみ)杜氏。
かつてサッカー少年であり熾烈なライバル関係だった二人がそれぞれの好きな言葉を組み合わせて作った造語です。
柳生社長は「イタリアで日本酒を造りたい」という夢を抱き、穴見杜氏を誘ってそれぞれ別々の蔵で修行を積みました。
社名に込められた「自由な醸造スタイルで、酒造りにロマンを」。
そんなLIBROMが手掛けるのは、日本酒の製造工程でフルーツやハーブなどの副原料を加えて発酵させる新ジャンル「クラフトサケ」。
「かつてのイメージの日本酒を超えよう」という想いから実現した自由な挑戦です。
「社長も若いし、やはり効率性を重視する蔵なのかな?」と思いきや、メイン材料ではなく、副材料である30kgものマンゴーを手作業で剥いてペーストにしたり、ミントの葉を一枚ずつ叩いて香りを引き出したりと、酒造りのために体を動かす労力は惜しみません。

そんな二人が造るこだわりと個性あふれるクラフトサケは、瞬く間に話題となり評判を呼ぶことに。
【ミラノ酒チャレンジプラチナ賞】を始めとした数々の賞を受賞しています。
実力と共に新しいジャンルのお酒として受け入れられたLIBROMのクラフトサケ。
会社帰りにふらっと立ち寄り、バーで提供される絶品のおつまみと共にクラフトサケに酔いしれる。
LIBROMは現在も福岡の街中の日常に寄り添い、溶け込んでいるのです。
LIBROMの大きな特徴は、「自由な発想」の酒造りという一言だけでは表現できない、柔軟さも持ち合わせています。
日本酒の仕込み水といえば、「地下水」や「川の水」といったイメージをお持ちと思います。
しかしLIBROMは、そこに拘泥せず、仕込み水には福岡市の水道水を使っています。それは高度な浄水技術のおかげ。
実際、"そのまま飲んでも美味しく、清潔で安全な水"だからこそ、他に特別なことをあえてしない。
「いい水とは何か?」という定義を「うまい酒を造るための水」と再定義する。
ならば上質な水道水を使用するのはとても自然です。日本酒の固定観念を更新しつつ、なおかつ伝統的な酒造りを併用するハイブリッドな蔵であり、未来を見据えたビジョンを持った蔵だと言えます。
2025年5月6日、LIBROMは創立4周年を迎え、提供するお酒やおつまみのラインナップをリニューアルしました。
他にも「みかんとミント」を組み合わせた2025年の干支ラベルや、「UNITED ARROWS」や「木花之醸造所」など小仕込みならではこそ実現できるコラボ商品など、常にファンを飽きさせない新しい酒造りを続けています。
LIBROMの取り組みを通して、かつても今も日本酒に携わってきた人々、そして日本酒の飲み手に「日本酒の未来は?」というテーマをその姿勢と商品によって、間接的に問いかける。
そんな存在の蔵でもあると感じます。
イタリアでの日本酒造りを目指して。LIBROM代表「柳生光人」

世界を見据え、日本酒の枠を超えた「クラフトサケ」で革命を起こしている一人の若き情熱家、LIBROM代表・柳生光人(やぎゅう みつと)氏。
現在は拠点を福岡からイタリアに移し、イタリアでの新しい日本酒造りの可能性を広げています。
そんな柳生社長、実は大学4年生ぐらいまで「お酒が飲めなかった」そうです。
どうしてそんな状態から酒造りの道へ飛び込み、イタリアでの醸造を目指すに至ったのか。その波乱万丈な歩みと、彼が描く「お酒の未来」をお伺いしました。
まず柳生社長と日本酒の出会いは、ふとしたきっかけ。自らが強く意図して目指した道ではなく、たまたま触れた日本酒の奥深さや、その歴史や伝統技術に一気に引き込まれます。
「学べば学ぶほど、日本酒の面白さと美味しさに惚れ込んでしまったんです」。
それからの情熱は凄まじく、大学の教授を説得してアパートを引き払い、山口県の新谷酒造へ3ヶ月間の見習い修行に。
卒業後そのまま就職し、さらに修業を積みます。自分が初めて手掛けたお酒を口にした時の感動は、今でも原動力となっていると言います。
その新谷酒造で1年働いた後、柳生氏はさらなる高みを目指しました。門を叩いたのは、「酒造りの神様」と称される能登杜氏・農口尚彦氏の研究所。
そこで過ごした3年間は、技術だけでなく「酒造りの心」を叩き込まれる日々だったと言います。努力をし、耐えた3年目には、酒造りの心臓部ともいえる「麹(こうじ)造り」の主任を任されることに。
「農口杜氏は、麹造りには本当に厳しい方でした。あの場所で学んだ『お酒は生き物である』という感覚が、今の僕のベースになっています」と柳生社長。
現在のLIBROMにある立派な麹室も、この時の経験があるからこそ「ここだけは妥協できない」とこだわって設置されたのです。
いかに現代的な技術や効率性を取り入れようとも、「酒造りの神様」の下で学んだ、"魂の麹造りが根底にある"ことが、柳生社長の「核」であり、イタリアなど"海外での日本酒造り"へのゆるぎない基礎となっています。
ただ、海外で酒を造りたいという強い想いを抱きつつ、なぜあえて国内の福岡で創業したのか...これは寄り道のように見えるかもしれません。しかし、実はすべてが「イタリア進出」への布石だったことが、後にわかります。
実際にLIBROMでは、一般的な酒造りとは異なり、食用米に近い精米歩合(92%等)で醸造をしています。
これには、イタリアといったヨーロッパ各国では、日本のような精米環境が整っていないというのが現状。 そこであえての「低精米」を行い、イタリアでも「うまい日本酒」を醸すために。という理由があるのです。
現に、柳生社長はイタリアでの醸造所設立に向けた準備も着実に進行しています。
SNSや公式サイトをみると、現地の視察やプロジェクトの進捗が発信されており、彼の「ロマン」がいよいよイタリアで形になろうとしているのです!

全ては「花」から始まった――
「LIBROM Craft Sake Brewery」の「原点」ともいえる特別な一杯、エディブルフラワー(食用花)を使った酒造りの印象的なエピソードがあります。
LIBROMが2021年に産声を上げた際、クラウドファンディングを通じて世に送り出した最初の作品。
それが、エディブルフラワーの「ビオラ」と「千日紅(せんにちこう)」でした。
柳生社長と穴見杜氏。
前述したように中学時代からサッカー部のライバルでした。しかも並みのライバル関係ではなかったと語ります。
「あいつにはパスは出したくない」というぐらいの激しいライバル関係でした。
そんな高校時代を経て、柳生社長はサッカーの道を卒業し大学へ進学することとなりました。対して穴見杜氏はさらなる高みを目指し、ドイツへ本格的にサッカー留学をします。
しかし残念ながら、そこは厳しい世界。プロの世界の手前まで行ったのですが、一歩届かず日本へ帰国。
恐らく失意の底、夢を絶たれたような気持だったはずに違いない当時の穴見杜氏に、柳生社長はサッカーの本場ヨーロッパ、なかでもイタリアに大きな興味と憧れがあった部分もあって、
「イタリアで日本酒を造れないだろうか」という自分の夢を話します。
すると、穴見杜氏は「俺もやりたい!」と応えてくれたのです。
ならば一度、それぞれ別の蔵で修行をして、修業を終えて再び一緒にやろうよ、とかつてのライバルが約束をします。
そんな経緯を得て、 再びコンビを組んで挑んだのが記念すべき「1号機と2号機」での酒の仕込み。
「それぞれ僕と穴見が責任を持って、自分たちの修行の成果をお酒にしようということで始めたんです」
柳生社長が担当したのが、この「青い方」のビオラ。
なぜ「お花」だったのか?
LIBROMが手掛けるのは、日本酒の製造工程で副原料を加えて発酵させる「クラフトサケ」です。しかし、柳生社長の根底にあるのは、修業で学んだ、日本酒の歴史や伝統技術への深い敬意。
前述の修行先の一つである「新谷酒造(山口)」や、酒造りの神様・農口尚彦氏の下で学んだ柳生社長は、本当は純粋な「日本酒」を造りたいという想いも抱いていたそうです。
しかし、新規の日本酒製造免許の取得が困難な現状を受け、副原料を添加する「その他の醸造酒」という枠組みで免許を取得しました。
「お花だったら日本酒に一番近い味を出せるかなと思ったんです。添加しても、お酒の味に影響しないものを使おうと思って」と柳生社長。
伝統的な日本酒の味を守りつつ、新しいカテゴリーとして成立させる。そんな試行錯誤の中から、繊細なビオラの香りを纏わせた「ビオラ」が誕生したのです。
当初は「日本酒に近いものを」という消去法的な理由で選ばれたお花でしたが、今やそれはLIBROMの「自由とロマン」を象徴するアイデンティティとなり、ロゴにも「エディブルフラワーの花弁(はなびら)」がモチーフとして取り入れられているほど。
現在でも、マリーゴールドやベルベールなど、お花やハーブを使ったシリーズはファンから根強い人気を誇っています。
「あの時、ビオラがあったから今の僕たちがいる」。
歴史が若い蔵だからこそ、最初の一歩がいかに自由でありまた不安と隣り合わせであったことか。
中学からサッカーのライバルだった二人だからこそ、お互いが熱く競い合った結果、このシリーズが生まれ、その酒の個性の違いが愛されることとなったのです。
ライバルからパートナーへ。LIBROM JAPAN責任者「穴見峻平」

柳生社長いわく、
「実は1回、断ったんですよ。一人の人生(穴見杜氏)を私が背負っちゃうわけじゃないですか。でも彼が広島で修業して『酒造りは面白い』と帰ってきた時、本気なんだなと確信しました」
現在LIBROM JAPAN責任者である穴見杜氏がこの世界に入った背景には、「日本酒の入口をもっと広げたい」というピュアな想いがあったそうです。

「男らしい酒」柳生社長 vs 「ワインに近い」穴見杜氏。
前述の記念すべき1号機と2号機の1本目。
穴見杜氏が担当したのが「赤い方」の千日紅。
農口氏の下で師事した柳生社長の「ビオラ」が”男らしい骨格”にそれに対し、新潟の阿部酒造で修行した穴見杜氏の酒質は、女性からの人気も高い”ワインに近い”スタイル。
結果としては、穴見杜氏の「千日紅」の方が売れたそうで、
今回の留学動画で、柳生社長は「本当に悔しいことに...(笑)」とライバル心を覗かせる場面もありました。
しかし、この異なる個性がぶつかり合うことによって、LIBROMの現在の多彩なラインナップが生まれるきっかけになっているのです。
LIBROMは、米と麹をベースにしながら、フルーツやハーブなどの副原料を掛け合わせる“クラフトサケ”という独特のカテゴリー。
酒税法上は清酒ではなく「その他の醸造酒」に分類されるため、既存の日本酒とは異なる立ち位置にあります。
だからと言って、それは、日本酒を否定する立場ではありません。
むしろ、従来の日本酒に親しんできた人だけでなく、ワインやカクテルを楽しむ層、さらには海外の人々にも自然に届く形を模索しています。
いわば“日本酒の翻訳”に魅力を感じ、この世界に飛び込んだのだと穴見杜氏は語ります。

守る文化が強い業界の中で、あえて「広げる」方向へ。
穴見杜氏の発言で特に印象的だったのが、リニューアルについての話。
単なるラベル変更ではなく、ブランドの立ち位置を改めて整理して再設計をする。その中で生まれたのが、「Pulcino(プルチーノ)」シリーズ。
Pulcinoはイタリア語で“ひよこ”を意味します。
これから羽ばたく存在、新しい可能性の象徴。そうした意味が込められています。
ブランドの思想を改めて整理し、飲み手にとって分かりやすい入口をつくるという想いが、この新シリーズに込められています。
新シリーズ「Pulcino(プルチーノ)」の第一弾となる1本が、「あまおうとホップ」です。
初めてお酒を楽しむ方や、お酒が強くない方にも"親しみやすい味わいを目指した低アルコールシリーズ"として設計されています。
「あまおうとホップ」は、福岡県を代表するブランド苺「あまおう」の甘酸っぱさと、ホップ由来のトロピカルな香りがふわっと広がる1本。
アルコール度数は約4%と低め。冷やしてグラスに注げば、まるでフルーツカクテルのような軽やかで親しみやすい味わいを楽しむことができそうです。
そんなPulcinoシリーズ全体のコンセプトは、「お酒が初めての人でも気軽に楽しめるやさしさ」です。
ラベルには可愛らしい“雛(ひよこ)”が描かれ、手に取りやすいデザインとなっています。
楽しみ方の提案としては、
・よく冷やしてグラスでそのまま
・軽めのスパークリングワインのように乾杯にも
・甘酸っぱいフルーツ系デザートと一緒に
「あまおうとホップ」は、従来の日本酒の感覚を超えて、さまざまなシーンで気軽に楽しめる1本になっています!
ただクラフトサケは、まだ認知が十分とは言えないジャンルです。だからこそ、「どう伝えるか」「どう誤解なく届けるか」が重要になります。そして、その設計を担っているのが穴見杜氏だと感じました。
また華やかな印象を持たれがちなクラフトサケですが、現場は決して派手ではありません。 副原料を用いる以上、原料調達は天候や収穫状況に左右されます。再現性と個性のバランスを取ることは、想像以上に繊細な作業のようです。
さらに、クラフトは日本酒に限らず「常に新しさ」を求められる側面もあります。
しかし発酵は生き物。派手なコンセプトを打ち出す裏側では、地道な温度管理や衛生管理の積み重ねが必要なのは、やはり日本酒造りの宿命といえます。
特に柳生社長が進めている"海外市場への視野"は重要なテーマです。
“Sake”という言葉が持つ認知を活かしながら、「新しい日本の発酵酒」としてどう海外に認知してもらえるか。
味わいだけでなく、ストーリーやデザイン、伝え方まで含めた展開が求められます。
新しい日常酒の提案。そして、日本酒業界全体の可能性を広げる存在=希望になること。
Pulcino――ひよこは、まだ飛び立ったばかりです。
けれども、発酵という目に見えない微生物たちの小さな営みの積み重ねのように、造り手も、小さな変化を丁寧に重ねていくこと。
この地道な連続こそが、次の日本酒の景色をつくっていくのかもしれません。
それぞれの旅立ち~LIBROMアラウンド・ザ・ワールド~

オンライン酒蔵留学でお話を伺った時点(2022年)、LIBROMは柳生社長、穴見杜氏、そして西島料理長という同級生トリオを中心に酒造りと、それに合う料理を日々探求し、提供をしていました。
柳生社長、穴見杜氏が酒造りの修行に入る以前に、西島料理長は高校卒業後すぐ料理の道へすすみ、岡山の名店で10年修業し、最終的には花板まで務めるなど経験と実績を十分に得ていました。
そんな西島料理長が福岡に帰ってきたタイミングで、
「うちで、料理を作ってくれないか?」と柳生社長は声をかけたと言います。
以来、西島料理長は、クラフトサケという未知のジャンルに合う料理を生み出し、蔵を支えてきました。
単なる利害関係にとどまっている経営者同士ではなく、互いをよく知る同級生トリオだったからこそ、酒、料理を自由な発想で造り続け、蔵を運営してきました。
ただ、西島料理長にも理想と夢がありました。3人が集まってから約4年の月日が流れ、2025年に西島さんは日本料理をさらに追求すべく、独立の道へ。
クラフトサケに合う料理の礎を残し、現在は開業した日本料理店で自らの道を歩んでいるとのことです。
柳生社長はイタリアでの日本酒造り。穴見杜氏は蔵を守りながら新たなクラフトサケを醸し、西島さんは日本料理のさらなる探求へ。
このタイミングでLIBROMは、3人がそれぞれの道へ信念をもって進むことを「アラウンド・ザ・ワールド」(世界一周)という表現でSNSで発信しました。
こんな青春ストーリーのような後日談が残されたLIBROM。長い歴史ある蔵のストーリーも味わい深いですが、この若い蔵ならではの歴史も素敵だと思います。
遂に実現!?【LIBROM ITALY】始動へ!

LIBROMの挑戦は、単なる海外展開とは言えないものでもあります。いわば"日本酒という文化を、もう一度「土地」と結び直す壮大な実験"。
それを示すのが、彼らが最初に海外での酒造りで選んだ場所は、ワインの聖地として名高いイタリア・バルバレスコ。
この地での酒造りプロジェクトは、クラウドファンディングで多くの支援を集め、着実に準備を進めていました。
しかし現地の法規制や醸造ライセンスの壁は想像以上に厚く、計画は一時、頓挫の危機に陥ります。
けれど、ここで終わらせるわけにはいかないという想いから、その歩みを止めません。
「現地の米と水で醸す」という信念を捨てず、次に選んだ舞台がイタリア北部のヴェルチェッリ。ヨーロッパ有数の米どころです。
ワインの聖地ではなく、“米の都”への方向転換。こんなところに彼らの哲学と柔軟さが凝縮されているのではないでしょうか。
だからこそ、LIBROMの酒造りは、一般的な日本酒の常識から見ると、かなり大胆です。精米歩合は92%。つまり、ほぼ削らない。
これは単なる個性ではなく、イタリアには日本のような高度な精米設備がないことを見越した、戦略的な技術開発なのでした。
福岡での3年間は、ある意味「実験期間」と言えるのかもしれません。
"現地の食用米でも美味しい酒が造れるか。精米に頼らず、発酵設計で味を組み立てられるか"
その答えを探し続けた結果が、今のLIBROMの味わいとなって表れています。
米の外側に近い部分には、タンパク質や脂質が多く含まれていて、これらは一般的に酒の雑味の原因になるとされているそうです。しかし同時に、繊細な日本人の味覚にとっては、旨味や複雑味の源でもあります。
「削って純度を上げるか。残して個性を引き出すか。」
LIBROMは後者を選び、2025年9月、ついにイタリア自社蔵の工事がスタートしました。
このアクションは、単なる日本文化の“輸出”ではありません。輸出ならば、日本で作った酒を海外に輸出すればそれで完結します。しかし現地で醸すということは、現地の風土との“共鳴”や"共存”を示すものになるのではないでしょうか。
言い換えれば、彼らがやろうとしているのは、日本酒を“日本の枠”から解放すること。
例えばワインがその土地の風土を語るように、日本酒もまたヨーロッパのその土地と結びつく独自な存在になれるのではないか、という実験です。
勿論、リスクもあり、失敗の可能性もあるでしょうし、そのことは柳生社長も穴見杜氏も、他のスタッフも分かっているはず。けれど、挑戦しなければ検証すらできません。科学と同じように、文化も、仮説と実験の積み重ねではないでしょうか。
現在(2025年)、LIBROMのイタリアでの挑戦ははまだ序章ですが、イタリアの水と米で醸された酒がこれからどんな表情を見せるのか。
「醗酵」という世界共通の神秘的で古来からの知恵は、あらゆる環境や原材料が異なるヨーロッパでどのように実を結ぶのか。LIBROMの冒険は、いま始まったばかりです。
【LIBROM】
〒810-0011
福岡県福岡市中央区高砂1丁目21番27号, ボンフル高砂103
TEL:0927-53-9298
MAIL:info@librom.jp
HP:https://librom.jp/
LIBROMのクラフトサケとペアリングをご紹介♪
MINT

「日本酒にミント」。
文字にすると一瞬、「?」となりますよね。
けれど、先入観ではなく、理屈で考えてみたら、どうでしょうか。
そもそも日本酒は発酵によって甘味・酸味・旨味が重層的に重なった飲み物。
そこにハーブの揮発性香気成分――特にスペアミントに含まれるカルボン(爽やかな香りの主成分)を重ねるとどうなるか。
答えは、「軽やかな清涼感の付与」となります。
グラスに注ぐと、ほのかに白濁した柔らかな色調。立ち上がるのは青々としたミントの清涼香。口に含むと、やわらかな甘み → ふわりと抜けるハーブ感 → 穏やかな酸。後味は驚くほど軽快。
冷やしてワイングラスで味わうのがお勧めです。
イメージ的に日本酒の「重さ」や「強さ」に身構えていた人ほど、拍子抜けするような軽やかさと清涼感が突き抜けます。
しかもLIBROMは原料はすべて福岡県産にこだわっていますので、このミントも福岡県産。
またアルコール度数は9%。この9%という数字、地味に革命的だと思います。
というのも、一般的な日本酒は15%前後。それに対して9%は、ワインよりも軽く、ビールに近い感覚。
結果として、「ジュース感覚で飲める」という言葉が決して誇張ではない仕上がりになっています。
この酒の発想の源は、キューバ発祥のカクテル「モヒート」とのこと。
柳生社長は、そのきっかけをこう振り返ってくれました。
「たまたま近所のバーに飲みに行ったら、そこは"ミントバー"という、水耕栽培でお店でミントを栽培してモヒートをメインで提供するお店だったんです。
自分お酒が強くないので、バーなどに行った時は軽いものを飲むんですけど、そこでモヒートを飲んだ時に『日本酒にミント使ったら面白そうだな』と思ったんです」
そこからバーテンダーさんに、ミントの扱いを学びます。
ポイントは――すりつぶさず。叩く。
ミントは潰しすぎると苦味が出る。叩くことで香りだけを立ち上げる。
そんな知識を得て、LIBROMではミントを一枚一枚叩いて仕込んでいます。勿論、効率は悪い。でも香りは澄む。
バーテンダーの知恵と日本酒の醸造技術が重なっているのです。
「もし日本酒が、もっと自由でいいとしたら?」
「もし“地酒”が、土地のハーブや果実と結びつく存在だとしたら?」
このミントクラフトサケは、日本酒がまだまだ変身できる可能性へのひとつの答えかもしれません。
■MINT スペック■
| 原材料 | 米(福岡県産)、米麹、ミント |
|---|---|
| 精米歩合 | 92% |
| 酵母 | 協会9号 |
| アルコール度 | 11度 |
「MINT」におすすめのペアリング

「リブロム ミント」のペアリングとして紹介していただいたのは「油淋鶏(ユーリンチー)」。
このミントは、はっきりとした酸味とやさしい微発泡感が特徴ゆえ、
「口の中をすっとリセットする、“ウォッシュ”するイメージがあるんです」。
この爽快感を生かすため選んだのが「油淋鶏」。
揚げた鶏肉のコクと甘酸っぱいタレの濃さを、ミントの清涼感がきれいに受け止め、 重たさは消え、旨味だけが残るという流れ。
爽やかなお酒だからこそ成立するペアリングと言えます。
さらに今回の「オンライン酒蔵留学」の参加者様たちに用意されたのが「卵黄の自家製醤油麹漬け」。
「うちは麹作りからやっているので、麹を感じてもらえるものをと思って」と柳生社長。
自家製の醤油麹に卵黄を漬け込み、ねっとりとしたコクと旨味を引き出しています。
麹由来のやわらかな塩味は、それだけでも酒の肴になるとのこと。
爽やかなハーブの酒に、揚げ物と麹の旨味。軽快さと満足感を同時に楽しめるペアリングですね♪
パッションフルーツ

"福岡で唯一のパッションフルーツの酒"であり、LIBROMのラインナップの中でも、ひときわ南国の風を感じさせる一本!
仕込みの設計は米の旨味を土台にしながら、果実の個性を前に出すバランスとのこと。
グラスに注ぐと、まず立ち上がるのはトロピカルな香り。口に含むと、鮮やかな酸味と果実の甘みが広がります。
そして特徴的なのが、種ごと使うことで生まれる“プチプチ”とした食感と香り。
使用されているパッションフルーツは、福岡県内のこだわり農家によるもので、
「ものすごく個性豊かで、"パッションフルーツに本気で向き合っている生産者さん"なんです。だから話し始めたらもう止まらないんです」と、柳生社長は笑います。
果実そのものの力強い酸味とパンチは、育て方のこだわりあってこそ。
日本酒でありながら、どこか南国のカクテルのようでもある。けれど芯には、しっかりと米の旨味がある。
その一口には、農家の情熱と蔵の探究心が詰まっています!
■パッションフルーツ スペック■
| 原材料 | 米(福岡県産)、米麹、パッションフルーツ |
|---|---|
| 精米歩合 | 92% |
| 酵母 | 協会9号 |
| アルコール度 | 8度 |
「パッションフルーツ」におすすめのペアリング

柳生社長が挙げてくれたのは、「マグロのたたき ジンジャーオレンジソースがけ」。
イメージしたのは南国系の味わい。
パッションフルーツの酸味とマグロの旨味。そこにジンジャーとオレンジの爽やかさが重なって、南国感がふわっと一気に広がる味わいになるのです。
お酒だけじゃなく、料理まで含めて世界観を作れる。これもLIBROMの大きな強みです。
LIBROM Q&A
今回の留学中に挙がった柳生社長への質問を一部ご紹介します。
- 澱は絡めた方が良いんでしょうか?
- 僕の答えは「フルーツ系は絡めたほうが美味しい」です。
澱っていうのは、酵母やお米の成分が残った部分。これを混ぜると、旨味と厚みが出ます。
特にフルーツ系は、澱を絡めることで果実の個性がしっかり立ちます。
最近いろいろ造ってきて、それがはっきり分かってきました。
特に夏場は、微発泡の爽やかさも出るので、基本的に澱絡みで出していますね。
飲む前に、軽くゆっくり混ぜるくらいで大丈夫です。澱も含めて、完成形だと思っていますよ。 - クラフトサケを造るうえでの苦労はありますか?
- 日本酒そのものは、これまでずっとやってきたので、ある程度は分かっているんです。でも大変なのは副原料ですね。
ミントは一枚一枚叩いて入れますし、フルーツなら一個一個むいてペーストにしてから仕込んだり。その加工が本当に手間なんです。
ずっとフルーツやハーブの特徴を勉強していますが、毎回が新しい挑戦で、正解がまだ見えていない感覚ですね。
あと基本は一発勝負で毎回ヒヤヒヤしますけど、それも含めて楽しいです。同じことをやっていないので、大変でもあり、ワクワクでもあります。
- 9号酵母の香りは副原料の香りに影響はないですか?
- 9号ってわりと華やかな香りが出るイメージありますけれど、でも今のところ、酵母の香りが副原料の邪魔をすることはないです。
うちはパッションフルーツとかミントとか、かなり特徴の強い副原料を使っているので、酵母由来のいわゆる吟醸香は、いい意味でマスキングされているんです。
なので、酵母の香りが前に出るというよりは、果実やハーブの個性を支える土台になっているという感覚ですね
オンライン酒蔵留学に参加するには?

「もっと酒蔵さんの想いを知りたい!」「オンライン酒蔵留学に興味がある!」という方は、下記よりご参加ください!
毎月異なる酒蔵さんとダイレクトにお話が出来る貴重な場となりますので、推せる蔵が見つかるかもしれませんよ♪
是非皆さんのご参加お待ちしております!
オンライン酒蔵留学の流れ

①事前にお酒が届く!
・オンライン酒蔵留学をお申し込み後、ご自宅にお酒をお届け。
②オンライン酒蔵留学に参加!
・つくり手さんと乾杯!(ZOOMまたはYouTube LIVE)
・前後半に分けて皆さんと交流しながら推し蔵ポイントを探る。
③全国に飲み友達が出来る!
・オンラインで全国の日本酒ファンと情報交換し、飲み友達が出来る。
過去のオンライン酒蔵留学の様子をまとめたレポートは記事はこちらからご覧いただけますので、是非参考にしてみてください!
↓ ↓ ↓

つくり手さんと「つながる」
つくり手さんの想いを「のぞく」
自分たちの世界観を「ひろげる」
次回もハンズオンポーズで乾杯!
※過去のレポート記事はこちらから!!


