オンライン酒蔵留学レポート
オンライン酒蔵留学は、おうちにいながら地方のお酒の作り手さんとダイレクトにつながって、一緒に乾杯できる日本酒通販サービスです。
作り手さんの想いや人柄も味わうことができ、日本酒を通して「人生の学び」や「新たなつながり」、そして「推し蔵」が生まれる場となります。
本記事では、これまでオンライン酒蔵留学にご出演していただいた酒蔵さんをご紹介!
この記事を通して、酒蔵さんの想いやこだわりについて是非触れてみてください♪
今回は、第25回オンライン酒蔵留学にご出演いただいた岡村本家(滋賀県)をご紹介いたします♪
岡村本家(おかむらほんけ)について

滋賀県で一番小さな町、滋賀県犬上郡豊郷町。
彦根の少し東側に位置し、日本最古のブランド牛である「近江牛」発祥の地として有名な場所。
また、良質な近江米の産地でもあり、自然豊かな田んぼの景色が伸びるエリアに岡村本家の蔵があります。
風がやさしく、水の気配が近い土地。この空気感が、そのまま酒の味になっている──そんな蔵元です。
創業は安政元年(1854年)にまで遡り、当時の彦根藩主・井伊家に命じられて酒造りを始めたという記録が残っています。
そんな長い歴史を持った岡村本家のシンボルともいえる1本は、「長寿金亀(ちょうじゅきんかめ)」。
これは彦根藩の権威や伝統を象徴する存在である彦根城の別名「金亀城(こんきじょう)」に由来します。
この名を藩主からいただいたというエピソードだけで、初代蔵元がどれだけ藩主に期待をされ、またそれに蔵が応えたかを示していると思います。
さらに初代がこの地に蔵を立てる際に、相当なこだわりがあったのだと伺えるエピソードがありました。
"蔵の場所を決めるまでに2年の歳月をかけた"のです。
それはこの地で酒を醸すにあたり、「酒造りに適した条件は譲れない」という思いを貫くための時間でした。
この「2年間」を深く理解するヒントは、まず“土地”です。
蔵を構える吉田周辺は、鈴鹿山系を水源とする川の流れがつくった肥沃な地域で、昔は低地で水害も多かったそう。しかし水が集まる場所には当然田んぼが広がり、米が育つ。
初代がなぜこの地に酒蔵を構えたのかは、ここからも伝わってきます。
吉田は古く「善田(ぜんだ)」という地名で呼ばれており、文字通り“よい田んぼ”の意味。
良質な近江米の産地として米作りが盛んだったことが、酒造りにも最適であることを踏まえ、初代はこの地に根を張る決意をしたのです。
そして、そんな歴史的な背景がしっかりと今の酒造りにつながっているのが岡村本家の特徴。
原料米は、吉田で栽培された「環境こだわり農産物認定」の米のみを使用していることからも、米へのこだわりが伝わってきます。
さらに伊吹山から吹いてくる寒風は酒造りに適しており、発酵のコントロールがしやすい。
これらが、初代が必要な条件が揃う場所を選び抜いた理由。
そんな初代からの長い長い歴史を経て、岡村本家の節目が1990年代に訪れます。
岡村本家は、1992年に酒造りを一度停止しているのです。
当時の日本酒業界では、若者の日本酒離れや後継者問題、激しい価格競争などといった問題が出てきていました。
しかし翌年の1993年には、畳杜氏・大坪頭・専務の3人で酒造を再開します。
再開までの一年という期間は、"続けていくのかどうか、あるいは続けていくならどうしたら良いのか"を問い直す葛藤の連続だったことでしょう。
それでも決断をしたのは、3人の揺るぎない思いと、初代からの長い歴史を背負った蔵の重い責任と誇り、強い信念からだったのではと感じます。
そして何より、“やはり、良い酒を造りたい”というシンプルな想い。もっと納得できる酒をという想い――。

ここから、岡村本家の現在につながる新たな流れが始まったのです。
まず1994年には新しい試みとして、酒蔵見学を開始し、営業活動を休止して自力販売中心へという流れを作りました。
酒造りそのものだけでなく、消費者への味の届け方までをも考えた末の、スピード感ある大きな転換点でした。
その岡村本家の酒造見学には、特別な演出はありません。
ただ、私たちに「飲む前の物語」を、ちゃんと教えてくれます。
蔵の中には、音・温度・香りがそのまま残っていて、「米が蒸され、麹が育ち、酒へと変わっていく工程」を、蔵人の言葉と一緒に、静かに追っていく時間です。
そんな時間のあとに飲む一杯は、今までより、少しだけ深く感じるはず。
そして次に「どう飲んでもらうか」も考えている岡村本家らしさが、いちばん素直に伝わるのが直営飲食店。
岡村本家の総合演出ともいえる、直営飲食店でしか体験できない日本酒の世界を味わってみてください♪
【直営飲食店ご案内】遊亀 祇園店、トリ亀
幅広い精米歩合による「長寿金亀」の”色”

「岡村本家」と聞いて、頭の中に真っ先に出てくるのが「金亀・歩合シリーズ」。
同蔵最大の特徴であり、まさにノーベル賞ものの幅広い精米歩合で醸しています。
その幅実に『20%から玄米100%まで』!!
「金亀・歩合シリーズ」は、“選びやすさ”が特徴!
歩合シリーズのスタートは、今からおよそ27年前。
当時を振り返りながら、岡村社長はこう話します。
「もともとは金亀も、大吟醸とか吟醸という表示で出していたんですが、なかなかお客様に覚えていただけなかったんです。じゃあ、どうしたら一番わかりやすいのかと考えました」
“いい酒”を造っても、"どんな酒か?”が伝わらなければ、覚えてもらえない、手に取ってもらえない。そこで選んだのが、精米歩合を、そのまま前に出すというシンプルな方法。
「40、50、60、70、80、90」。
どれだけ米を削ったかを、誰が見ても一瞬でわかる「数字にする」という可視化です。
さらに、「吟醸」「大吟醸」といった言葉は、あえて使わない。
「もう、精米度合いの数字と、“火入れ”か“生”か、それだけでいいと思ったんです。 それに合わせて瓶の色も変えて、見た目でも違いが伝わるようにしました」
ラベルを細かく読まなくても、瓶を並べた瞬間に、その違いが目に入る。
瓶の色分けも、デザインありきではありません。精米歩合ごとに色を変えることで、「今回は、どれにしようかな」と、直感的に選べます。
数字で理解し、色で感じる。
日本酒初心者からマニアまでをカバーし、自然に選択肢に入ってくる工夫。
この「歩合シリーズ」が、20%台から玄米100%まですべて揃ったのは、実はごく最近。
「全部が揃ったのは、数年前ですね」(2023年時点)。
約27年という時間をかけて、ようやく一つの「型」が完成しました。
今日は60、次は70にしてみようか...。または気分や料理で選べばいいという"飲み手に委ねるための日本酒”と言えるでしょう。
飲む人それぞれの「これが好き」、「これが合う」を浮かび上がらせること=「買う前に酒のイメージが具体的に想像できる」。
これによってペアリングの選択も変わり、また逆にペアリングからお酒の選択も変わるという「1本を選ぶ楽しみ」がぐっと広がります。
しかし、岡村社長が蔵に戻った時からこうだったわけではありません。先代が造られていたのは60%や70%といった、今で言えば少しクラシックな磨き具合の酒が中心でした。
そこから時代の流れもあって、「大吟醸を造るなら、50%まで磨こう」という考えが生まれます。
「父の代で80%を造ったのが、ひとつのきっかけでした」と岡村社長。
最初は、50%、60%、80%。ここから、金亀の歩合シリーズが動き始めました。
「もっと磨いた酒も造ってみたい」という杜氏の思いがある一方で、田中社長は、"昔は90%くらいの酒も造っていた"という記録に目が留まります。
「逆に、磨いていない酒もやってみたいと思ったんで、杜氏に伝えてみました」
返ってきたのは、とてもシンプルな一言。
「いっぺん、やってみましょう」
こうして少しずつ、精米歩合の幅は、自然に広がっていきます。
そして、その流れの行き着く先とも言えるのが、「長寿金亀 100% 玄米」です。

玄米で麹や酒を造る?「本当に酒になるのかと考える人も多いと思いますが...」と田中社長に問いかけると、
「まあ、できましたね(笑)」と笑います。
実は法律上、「米を磨かなければならない」という明確な規定はありません。
発芽玄米は不可ですが、玄米そのものは特に問題ないとのこと。
そこで2016年頃、玄米100%の試作を始めたのです。
最初は、白米と同じ感覚で、洗い、蒸し、仕込んでみましたが、結果はなかなか厳しいものでした。
通常であれば、およそ8割が酒になり、2割が酒粕として残りますが、最初の試みでは「5%が酒、95%が酒粕」が残り、アルコール度数も2%ほど。
それでも、岡村社長と杜氏の好奇心、情熱は消えませんでした。
翌年は、洗米時間、吸水時間、蒸し時間、そして麹の温度管理まで、すべてを慎重に見直します。
すると、3割が酒、7割が酒粕に。
「これは、チャンスがあるなと思いました」と田中社長。
酒としての輪郭がはっきりし、玄米ならではの香りも、きちんと感じられ、
「私はおいしいと感じました。」
そんな改良と試作を重ねるたびに、色も、味も、少しずつ整っていきました。
当初は赤い瓶を使用する予定だったのですが、今では透明瓶を使用するほど酒そのものが玄米色を帯びており、驚くほどきれいな酒になっています。
これでも最初の年に試作したものに比べて、半分程度の色の濃さだそうです。
「私が言うのも何なんですが、杜氏には、ノーベル賞をあげたいぐらいです。よくここまで酒にしてくれたな、と」
冗談のようでいて、そこには、本気の敬意が見えました。
"磨けば磨くほど、そして、あえて磨かないほど、酒はまったく違う顔を見せてくれる"「金亀の歩合シリーズ」。
機会があれば、ぜひ一度、自分の舌で確かめてみてください。
「全量近江米」へのこだわり

岡村本家では、醸される日本酒はすべて近江米100%で仕込まれています。
いまでは自然な姿に見えるこの酒造りも、実は長い時間をかけて少しずつ形づくられてきたものです。
岡村本家の創業は約168年前。初代がこの地に蔵を構えた理由のひとつも、「米に恵まれた土地だったから」と伝えられています。
それでも、現在の蔵元・岡村社長が実家に戻った当時、蔵では滋賀県産の酒米は使われていませんでした。
「父の代では、県外の良い酒米をすでに集めていたんです」
当時は、品質を安定させるために評価の定まった酒米を使うことが、酒造りとしてごく自然な選択。
もうひとつの理由は、地元で酒米を作る農家がほとんどいなかったことです。
地元の米で酒を造りたいという思いがあっても、安定して供給できる体制がなければ、蔵としては踏み出せません。
この状況を変えるため、岡村本家は約20年前から、地元農家との契約栽培の取り組みを始めます。
滋賀県産、特に蔵から半径10km圏内の農家さんと米作りの考え方を共有しながら、関係を築いてきました。
今では、酒造好適米の吟吹雪(ぎんふぶき)、玉栄(たまさかえ)。
飯米の日本晴、コシヒカリ、キヌヒカリ、みずかがみ、を中心に扱うまでに。
"この土地の米で、酒を造る"という取り組みは、やがて酒蔵と農家が同じ目線で米作りに関わる活動へと広がっていきます。
その象徴的な取り組みのひとつが、「彦米酒の会。」
この会では、酒蔵の人間も田んぼに入り、田植えや稲の成長を農家と一緒に見守ります。
米は「仕入れるもの」だけではなく、酒造りの一部として、最初から関わるものという考え方が、活動の根底にあります。
時間をかけて、農家・蔵人・土地の関係を育ててきたからこそ、現在の近江米100%の酒造りが実現したのでしょう。
また岡村本家では、麹米と掛米(かけまい)を分けず、すべて同じ米・同じ精米歩合で仕込んでいます。その年の米が、より素直に酒へと表れてくる。そんな酒造りを大切にしています。
さらに滋賀県の米作りを語るうえで欠かせないのが、琵琶湖の存在。
田んぼの水だけでなく、生活用水も含めて、"水を大切に扱う意識"が、長い時間をかけて地域に根づいてきました。
その結果、田んぼでも質の良い水が使われ、丁寧な米作りを行う農家が育っています。
近江米100%で酒を醸すという今の姿は、最初から描かれていたゴールではなかったことでしょう。
地元米を使えなかった時代があり、農家と関係を築く時間があり、田んぼに足を運ぶ日々がを経て、
「米・水・人」すべてが同じ土地でつながることで、岡村本家の酒は、静かでやさしい輪郭を持つ味わいへと育っています。
能登杜氏からの伝承「木槽袋搾り(きぶねふくろしぼり)」

岡村本家の酒造りは、現杜氏を含め代々能登杜氏の技術を伝承してきました。
それが形として今にも残っているのが、日本酒造りの終盤にある「絞り」。
醪(もろみ)から酒と酒粕が分かれる作業です。
最近では、薮田式自動圧搾機が主流となっていますが、岡村本家には佐瀬式の「木槽(きぶね)」が悠然と佇んでいます。
醪(もろみ)を入れた袋を木槽に並べ、重みで搾る、いわゆる「槽搾り(ふなしぼり)」の最大の特徴は、お酒にストレスを与えることなく搾れるため味わいがまろやかに仕上がること。
しかし、この木槽袋搾りはかなりの重労働。
この作業について岡村社長は、とても身体感覚のある言葉で語ってくれました。
岡村社長が蔵に戻り、跡を継ぐために酒造りに入った頃。70代、80代の先代杜氏や頭たちと一緒に絞りの作業をしたときのこと。
絞り用の袋は、長さおよそ1メートル20センチ。その底まで、もろみをしっかり入れていきます。
「袋を2つ、3つ扱っただけで、腰が"笑う"んですよ」
その意味は、力が入らなくなり、砕けそうになる感覚。それほどの重労働です。
それでも、このやり方を続けている理由は、
「この絞りだからこそ、酒はやさしく、まろやかに仕上がるんです」と岡村社長はさらっと言います。
時間と重みで、ゆっくり酒を分けていく。その結果、角のない味わいになるのだそう。
またこの地域では、現在でも酒粕がとても大切にされています。
しっかり酒分を含んだ酒粕は、食材としても価値が高く、無駄になりません。
"酒も、粕も、きちんと使い切る"という思いがあるから、この昔ながらの絞り器を今も使い続けているのです。
さて、この絞りの作業、一度袋を置いたら終わりではありません。
「以前は、袋を3回移動させていました。今は身体への負担を考え、2回に減らしていますが、それでも、ある程度まで絞った袋を中央に寄せて、さらにしっかり絞り切るんです。」と、田中社長。
そうしないと、この機械では本来の力を出し切れないとのことですが、機械ではない人の身体には正直きつい。
「勿論、いいところもあるけれど、やっぱり大変な作業ですね」 と、社長は静かに笑います。
今使っているこの絞り器も、実は昔の機械だそうです。。
「この機械よりもっと古いものだった昔の人は、本当に大変だったと思いますね」
そう語るその言葉の奥には、酒の味だけでなく、積み重ねてきた蔵の歴史そのものへの敬意が滲んでいました。
”滋賀酒”としての11年の歩み。ALL SHIGA 酒蔵コラボ純米酒

10月(神無月)――
蔵にとってこの月は、毎年気持ちを整えるような、少し特別な時間です。
十二支でいえば10番目にあたる「酉(とり)」の月になります。
この「酉」という字は、もともと壷の形を表す象形文字で、実はお酒を意味していたとも言われています。
さらに10月といえば、新米が収穫され、本格的に酒造りを始める季節でもありますので、以前は酒造年度も、10月1日から始まっていました。
そんな背景があり、1978年に日本酒造組合中央会は「10月1日は日本酒の日」と定めました。
そもそも日本酒は、古くから神様にお供えされてきた大切な存在でもあります。
また「乾杯」という言葉には同じ場で、人々が"同じ思いを分かち合う"という願いが込められています。
この「日本酒の日」の考え方と、滋賀の酒文化を融合するかたちで生まれたのが、「滋賀地酒10,000人乾杯プロジェクト」。
滋賀県では2015年、「近江の地酒でもてなし、その普及を促進する条例」が施行され、 行政の後押しを受けながら、地酒を伝える取り組みが動き出しました。
中でも、中心的な存在として続いてきたのが、この「10,000人乾杯プロジェクト」。
このプロジェクトの中心にあるコンセプトは、とてもシンプルです♪
10月1日を中心に、県内の飲食店や家庭、イベント会場など、各々の場所で"同じ酒"を手にし、同じタイミングで乾杯する、ということ。
それを1万人規模でやってみよう、という、少し大胆で、日本酒好きにはどこかワクワクする試み。
この取り組みを語るうえで欠かせないのが、「オール滋賀32酒蔵コラボ純米酒」です。
これは、滋賀県内にある酒蔵が、それぞれの酒を持ち寄り、すべてを合わせて一本の酒として仕上げる。
毎年、「濃い、淡い、甘い、辛い。」といった個性の異なる酒を4つのテーマに分けてブレンド。
出来上がった酒は、いわばその年の滋賀を映した一本になります。
このプロジェクトは、およそ11年にわたって続いてきました。
メイン会場では、 知事の発声による同時乾杯が行われ、これまでに延べ約50,000人が、グラスを掲げてきたそうです。
ですが残念なことに、2025年、この取り組みは一区切りを迎えました。
とはいえ、その理由は、前向きなもの。
蔵同士の交流が深まり、技術的な情報交換も進み、この取り組みは一定の役割を果たした、という判断でした。
また一方で、ここ近年は原料米の高騰や気候変動など、酒造りの環境が厳しくなっているのも事実。
だからこそ、これは次に向けた試みへの大切な区切りでもありました。
現在も、様々な課題に向き合いながら、講習会や技術の共有を重ね、県全体で酒質の底上げを目指しています。
そして、最近の話題でいうと、次世代の酒米「滋賀酒85号」が登場したとのこと。
滋賀地酒10,000人乾杯プロジェクトで大勢の人々が"同じ一杯を同じ瞬間に掲げた時間"は、これからも、滋賀の酒のどこかに静かにつながっていきます。
【岡村本家】
〒529-1165
滋賀県犬上郡豊郷町吉田100番地
TEL:0749-35-2538
FAX:0749-35-3500
HP:https://uozushuzo.co.jp/
オンラインストア:https://hongoshuzo.base.shop/
岡村本家の日本酒とペアリングをご紹介♪
長寿金亀 藍40 火入れ

精米度合い(40)の数字の印象よりさらに穏やかで落ち着いた味わいの一本。
精米を適度に進めていて、その香りはバランスよく、口の中では静かに旨味が広がっていきます。
勿論、"火入れ"によって味わいの輪郭や骨格はソフトな口当たりにつながっています。
決して派手な酒ではないですが、丁寧に醸された酒であること、長寿金亀という酒の立ち位置を感じられます。
■長寿金亀 藍40 火入れ スペック■
| 原材料 | 米(国産)・米麹(国産米) |
|---|---|
| 原料米 | 近江米 |
| 精米歩合 | 40% |
| アルコール度 | 14度 |
「長寿金龜 藍40 火入れ」におすすめのペアリング

この一本に合わせたい料理として岡村社長が挙げたのは、「琵琶マスのマリネ」、「生ハム」、「刺身」の盛り合わせ。ブリやマグロのような、脂と旨みをもつ魚も相性がいいといいます。
ただ、「琵琶マス」と聞いても、正直ピンと来ない方のほうが多いかもしれません。
岡村社長に説明していただいたところ、
「琵琶マスは、簡単に言えば滋賀のサーモンですね。香りと味わいがしっかりあるんですが、こんなしっかりした味の食材でも、この酒はちゃんと受け止めてくれます」
脂がやさしく、それでいて、魚そのものの香りがきちんと立つ。
だからこそ、「藍40 火入れ」の持つ落ち着いた香りと、芯のある味わいが、きれいに噛み合います。
マリネの酸味があっても、刺身の生っぽさがあっても、酒の存在感が消えないというのが、このペアリング面白さです。
この琵琶マスは、琵琶湖にだけ生息する固有種のひとつ。鮭科の魚で、湖で数年を過ごしたのち、秋になると、生まれた川へ遡上して産卵します。
滋賀では、「あめのいおご飯(マスめし)」や「こけら寿司」といった郷土料理でも親しまれてきました。
最近では養殖も始まり、岡村本家の酒粕を使った試みも行われています。
高級魚とのことですので、お家で気軽に、というよりお店でじっくり味わうことの多いとか。
しっかりした味の料理を“受け止める力”がある1本と言えるでしょう。
長寿金亀 緑60 火入れ

口の中でやや立ち止まって味わいたくなる酒!精米歩合は60%。削りすぎず、残しすぎず。軽やかでやや辛口というバランスの良さが魅力!
香りは穏やかですが、口に含んだときに、米の旨味とほのかな甘みが、じわっと広がってきます。
こちらも"火入れ"によって味わいの輪郭は安定しており、全体的には丸みのある設計となっています。
派手な個性を求めると、少し地味に感じるかもしれませんが、「ちゃんと設計したちゃんとした酒」と気づくタイプの1本です。
■長寿金亀 緑60 火入れ スペック■
| 原材料 | 米(国産)・米麹(国産米) |
|---|---|
| 原料米 | 近江米 |
| 精米歩合 | 40% |
| アルコール度 | 14度 |
「長寿金龜 緑60 火入れ」におすすめのペアリング

食中酒として非常に軽やか、かつナチュラルに楽しめる設計になっています。
飲み口は軽やかですが、米の丸みや、ほのかな甘さが、静かに口の中に広がっていきます。
このお酒に合わせたい料理として岡村社長が挙げたのが、「魚の南蛮漬け」と「鯖の塩焼き。」
「皆さんが一般的に普段から食べていらっしゃるお魚がいいかなと。なかでも一番あうのが、この60かなと思います。」
日々の食卓に自然と並ぶ魚料理と相性抜群とのこと。
まず「魚の南蛮漬け」。
揚げた魚のコクに重なる酢の酸味や野菜の甘みといった、比較的味の輪郭がはっきりしている料理ですが「長寿金亀 緑60 火入れ」の辛口が、後味をすっと整え、口の中を一度リセットしてくれる。だから、箸も、盃も、自然と進みます♪
「鯖の塩焼き」との相性も、とても素直な印象。
鯖の脂の旨み、塩のきいたシンプルな味わいに対して、脂を切りすぎることもなく、魚の美味しさと塩味をそのまま自然に残してくれる。
魚料理のある夜に、ただ酒との素直で自然な組み合わせを楽しむ。そんな場面でこそ、このお酒の良さが伝わってくるように感じます。
長寿金亀 白80 火入れ

米を残すことの意味――。精米歩合は80%(20%しか削っていない)。
メインストリームである“削った酒”とは逆の立ち位置で、独特の個性を放っています。
口に含むと、感じるのは、"穀物を想起させる素朴な香りと、はっきりとした米の甘み"。かすかに原始的な濃さと厚みが口中で広がります。
味わいは"火入れ"によって落ち着いており、荒さや角はすっかりなくなっています。
この酒は、香りや軽快さ、流行りの飲みやすさに沿った酒ではありません。
「日本酒は米からできているんだ」という当たり前すぎて見過ごしていた感動を、私たち日本人に再び思い出させてくれる酒かもしれません。
甘みやコクを楽しみたい、温度による変化を味わいたい方にとっては、正直に向き合ってくれる1本です。
■長寿金亀 白80 火入れ スペック■
| 原材料 | 米(国産)・米麹(国産米) |
|---|---|
| 原料米 | 近江米 |
| 精米歩合 | 80% |
| アルコール度 | 14度 |
「長寿金亀 白80 火入れ」におすすめのペアリング

米をしっかり残した造りだからこそ、口に含んだ瞬間から、米の旨味と甘みが、はっきりと伝わってきます。
そんな味わいの酒に、岡村さんが挙げたペアリングは、少し驚く組み合わせでした。
「ドライフルーツのパイナップル」、そして「照り焼きチキン」。
いわゆる“日本酒らしい肴”とは違いますが、岡村さんは、こんなふうに話してくれました。
「甘いお菓子感覚で合わせていただくのもいいですし、しっかり味のある食材に合わせていただくのも、いいかなと思っています」
まずは、「ドライフルーツのパイナップル」。
果実の甘さがぎゅっと凝縮され、そこに軽い酸味が残るパイナップルに、酒の濃厚な甘みがさらに重なると、酒とお菓子の境界がゆるやかになくなっていく感じ。
どこかデザートワインのような感覚もあり、食後に少しだけ楽しむ一杯としても、いいかもしれませんね♪
一方で、「照り焼きチキン」は、甘辛いタレのコクと鶏肉のしっかりした旨味のある料理。
この濃さを真正面から受け止められるのは、米本来の包容力ある甘みと旨味があるから。
甘さ同士がぶつかるのではなく、全体を丸く、やさしくまとめてくれます。
「長寿金亀 白80 火入れ」は、軽快に飲み流すタイプの酒ではなく、また料理を引き立てるというより、料理の甘さを、別の柔らかい甘さで受け止める酒。
"米の個性をそのまま、まっすぐに伝えてくれる"一本と言えるでしょう。
岡村本家Q&A
今回の留学中に挙がった岡村社長への質問を一部ご紹介します。
- 玄米100%の場合、粕歩合が高いと税務署から怒られませんか?
- 正直に言うと、最初は、まあまあ言われました(笑)。
「なんでそんなことするんや」「誰もやってへんやろ」って。
試験醸造の許可も、すんなり出たわけではなくて、「まずはやめておいたら?」みたいな空気も、正直ありました。
でも、タイミングも良かったり、いろいろ話をさせてもらう機会があって、
「じゃあ一回やってみましょうか」という流れになったんです。もちろん、2年目、3年目、4年目と進む中で、いろんな指導も入りましたし、簡単な道ではありませんでした。
今でも「玄米だけで造る」というのは、やはり難しい部分はありますが、少しずつ形になった、という感じですね。 - 30種類あるお酒の中でどれが一番人気がありますか?
- やはり歩合シリーズとして「60」とか「80」は「辛い」「甘い」ということで味がしっかりと分かれているので、お客様としては選びやすいのか、人気がありますね。
それでも、他のお酒も個性がそれぞれありますので、できるだけ残していきたいです。 - 岡村本家さんの熟成酒は今後どのようにビジネス展開していく予定ですか?
- 実は最初から「古酒をやろう」と思って始めたわけじゃないんです。
長寿シリーズをここまで増やす前から、たまたま古酒自体は蔵にあったんです
。 きっかけは、実家に戻った時に、2年目、3年目と、特に古酒として出すつもりもなく残っていたお酒を飲んだことで、
「これ、意外と美味しいやん」って素直に感じました。
当初は、3年とか5年くらい寝かせたらいいかな、と思っていたんですけど、「もうちょっと味を乗せたいな」って思っているうちに、だんだん期間が延びていって、気づいたら、一番長いもので、28年寝かせた古酒もあります。
これを、どんなタイミングで、どう飲んでもらうのが一番いいかと考えています。
なので正直、飲んだ人方からの声も、聞かせていただきたいと思っているところですね。 いつも商品化したいという想いがあるので。
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是非皆さんのご参加お待ちしております!
オンライン酒蔵留学の流れ

①事前にお酒が届く!
・オンライン酒蔵留学をお申し込み後、ご自宅にお酒をお届け。
②オンライン酒蔵留学に参加!
・つくり手さんと乾杯!(ZOOMまたはYouTube LIVE)
・前後半に分けて皆さんと交流しながら推し蔵ポイントを探る。
③全国に飲み友達が出来る!
・オンラインで全国の日本酒ファンと情報交換し、飲み友達が出来る。
過去のオンライン酒蔵留学の様子をまとめたレポートは記事はこちらからご覧いただけますので、是非参考にしてみてください!
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