オンライン酒蔵留学とは?
オンライン酒蔵留学は、おうちにいながら地方のお酒の作り手さんとダイレクトにつながって、一緒に乾杯できる日本酒通販サービスです。
作り手さんの想いや人柄も味わうことができ、日本酒を通して「人生の学び」や「新たなつながり」が生まれます。
離れて暮らす仲間と「たのしく学ぶ」ことで、いつものお酒がさらに美味しく味わい深くなっていきます。
・酒蔵見学に行ってみたいけど、時間が取れない…
・もっと色んな日本酒の知識を増やしたい!
・日本酒好きの仲間が欲しい!
こういった想いを抱えている方には是非おすすめの場です!!
47回目となる今回のオンライン酒蔵留学は北陸応援シリーズ第4弾!!
富山県氷見市に蔵を構える髙澤酒造場から髙澤龍一社長にご登壇いただきました。
能登半島地震の被災から再建を目指す髙澤酒造場を全力で応援していきます!!
第47回 オンライン酒蔵留学

■日時:9月28日(土)19:00~
■登壇者:髙澤酒造場 七代目蔵元杜氏 髙澤龍一氏
■参加留学生:19都道府県から35名
■留学内容■
<前半>
・髙澤酒造場についてご紹介
・髙澤酒造場のお酒で乾杯
・質問タイム
<後半>
・留学生同士でディスカッションタイム
【今回のお酒に合うペアリングは?】
・質問タイム
・まとめ
・次回予告
髙澤酒造場が蔵を構えるのは、能登半島の東側に位置する氷見市。
能登半島というと石川県をイメージしますが、富山県の北西部にあたります。

令和6年の元日に発生した能登半島地震により、髙澤酒造場は米蔵・酒貯蔵庫が全壊という甚大な被害を受けました。
そんな蔵の再建を目指す髙澤酒造場さんを応援させていただきたいと思い、北陸応援シリーズ第4弾として今回のご登壇が実現。
復興への想いや酒蔵の魅力についてお話ししていただきました。
髙澤酒造場(たかざわしゅぞうじょう)について

髙澤酒造場は、「ひみ寒ブリ」で知られる海辺の街、富山湾に面した氷見市に蔵を構えます。
創業は明治5年(1872年)。
江戸時代末期に初代「高澤利右ヱ門」が氷見を訪れ、豊富な井戸水と富山湾からの海風が酒造りに適していると判断し、酒造りを手掛けました。

蔵の目の前には富山湾上に浮かぶようにそびえる立山連峰の雄大な景観が広がっており、海越しに3,000m級の山々を眺めることが出来る場所は、氷見を含めて世界で3か所のみ。
この絶景とも言える富山湾(旧名:有磯海)越しの立山連峰から登る日の出の勢いの良さと神々しさに感銘を受けた利右ヱ門は、末代まで登り続けますようにと願いを込めて代表銘柄「有磯 曙(ありそ あけぼの)」を誕生させました。
※曙とは、ほのぼのと夜が明けはじめるころや夜明けの意味。
現在は七代目「髙澤龍一」氏が蔵元杜氏を務めており、先代から続く能登杜氏の流派「能登流」を継承し、伝統ある酒造りを守り続けています。
髙澤酒造場では、氷見の四季折々の食文化、とりわけ魚介類に合う酒造りを目指しており、口当たりが柔らかく味わい深い、キリっとキレの良い酒質が特徴です。
富山湾からのめぐみ「あいの風」

髙澤酒造場の酒造りにはいくつか特徴があります。
その一つが「あいの風」。
あいの風とは、酒米に豊饒をもたらすと言われる北東からの海風のこと。
古くは万葉集の時代から豊作、豊漁等「幸せを運ぶ風」として県民に親しまれてきました。
髙澤酒造場では、冬季の仕込み期間中、大戸を開け放ち、蒸しあがった酒米にあいの風をさらして冷やします。
この海風にはミネラルが豊富に含まれているため、発酵を進めてくれ、魚介類に合う、脂をすぱっときって流してくれる曙らしい味わいを醸してくれるのです。
あいの風を利用した自然放冷は、冷やす機械のなかった創業当時より続いており、髙澤社長自身も幼少の頃から目にしていた伝統ある光景でした。
しかし、近年は温暖化の影響により完全に冷やすことが難しくなってきたため、蒸米を室温まで冷やした後は、仕込温度まで冷蔵庫で冷やさなければならない状況になっているようです。
それでも蔵の歴史でもあり、味の決め手となるこの放冷作業は「有磯 曙」には欠かせない根幹なのです。
昔ながらの手作り「槽搾り(ふなしぼり)」を守り伝える

もう一つの特徴が創業当初から続く「槽搾り」。
槽搾りとは伝統的な日本酒の搾り方。
手間と時間がかかるため現在では少なくなっていますが、醪(もろみ)を入れた袋の重みで自然に搾られるため、お酒にストレスがかからず口当たりの優しい繊細な味わいのお酒を造ることが出来ます。
現在主流となっている「薮田式」がお酒を搾りきるのに1日程度要するのに対し、槽搾りは2日半ほど。
これにはかける圧力の強弱の違いもありますが、密閉ではない槽搾りは圧をかけてもどこかで逃げてしまうため時間がかかってしまいます。
当然出荷率も薮田式より遅れを取ることに。
しかし、すべてのお酒を槽搾りで造る「全量槽搾り」を採用しているのは、富山県内の酒蔵では髙澤酒造場のみ。
なぜそこまで槽搾りにこだわるのか?
それはやはり槽口から出てくる“お酒の柔らかさ”にあります。
醪(もろみ)にストレスを与えない搾り方のため後味の苦みが少ない優しい味わいとなります。
このお酒の柔らかさこそが「有磯 曙」ならではの特徴であり、“氷見の食文化に寄り添うお酒”として地元の方々に親しまれてきた由縁なのでしょう。


髙澤酒造場の酒造りには、酒質や製法以外にも点字の打刻や女性でも開栓しやすいおしゃれなキャップなど飲み手に配慮された、細やかな部分が垣間見えます。
さらにラベルにデザインされた「曙」の書体は、髙澤社長の奥様の手書きとのこと。
蔵元夫婦、蔵人たちの想いが詰まった素敵な酒蔵ということが伺えます。
【髙澤酒造場】
〒935-0004
富山県氷見市北大町18-7
TEL:0766-72-0006
FAX:0766-72-2680
HP:https://ariiso-akebono.jp/
震災を乗り越えて酒造りを再開

2024年1月1日16時、蔵は正月休みの中、髙澤社長は一人仕事をしていました。
蔵の中で一番古い仕込み蔵で大吟醸の酒母の管理をしていた時でした。
突然、下から突き上げるような大きな揺れに襲われます。
初めて経験する大きな揺れに困惑している中、さらに立っていられないほどの大きな揺れに襲われ、瞬く間に土壁が崩落するなど蔵は被害に遭いました。
直後に津波警報が発令され、家族と蔵の二階部分に避難した髙澤社長は“これでダメならご先祖様も許してくれるだろう…”と極限の状態でした。
幸い、氷見には大きな津波は到達せず2次被害は免れましたが、液状化や断水、建物の傾き、基礎部分の亀裂など蔵は甚大な被害を受け、米蔵・酒貯蔵庫は全壊という判断が下されました。

絶望的な状況の中、お酒造りを諦めない髙澤酒造場は氷見唯一の酒蔵存続のためクラウドファンディングにて再建に立ち上がります!
まずは崩れた米蔵・酒貯蔵庫の再建と仕込み蔵の土壁の補修補強を目指すことに。
プロジェクト公開後、すぐに第一目標を達成するなど多くの方からの支援や協力のおかげで日に日に傾いていく米蔵・酒貯蔵庫の解体を進めることが出来ました。
現在は地盤調査と地盤改良を行いながらどのように再建していくのかを計画中です。
また、土壁崩落の仕込み蔵に関しては、無数のクラックが生じていましたが、専門家に診断してもらったところ補強して残せることとなりました。
この仕込み蔵は、髙澤社長の祖祖父が大正時代に建てたもので、代々の色々な想いや、酵母などが染みついている蔵です。
酒造りの根幹であり曙を造りだす酵母の生息地であり、とても大切な蔵であるためこの蔵を残せることは、まさに不幸中の幸いでした。
こうしてなんとか仕込み蔵を残せることになった髙澤酒造場は、10月下旬からお酒造りを再開することが可能となりました。
ここまで順調に進めることが出来たのは、“やはり皆さんの温かいご支援があったからこそ”と実感する髙澤社長。
身が引き締まる思いで再出発の酒造りに挑みます!
髙澤酒造場の日本酒2本で乾杯!!

【1本目】 純米吟醸 獅子の舞

髙澤酒造場で昔から醸されている一番古い純米吟醸「獅子の舞」。
世界遺産の五箇山合掌造り集落で知られる富山県南砺市で育てられた五百万石を50%まで磨き上げています。
大吟醸寄りの精米歩合ですが、トップ香よりも含み香の方を重視した造りになっており、口当たりが良くすっきりとした味わい。
髙澤酒造場では、アミノ酸度を酸度よりも低く設定することをポリシーとしており、キレの良さを出しているため氷見特産の脂の多い魚介類との相性は抜群です!
是非、氷見の寒ブリと合わせてご賞味ください♪
ラベルデザインに描かれている「獅子舞」。
富山県は獅子舞が盛んであり、その中でも輪をかけて獅子舞熱が高い氷見市。
伝統芸能である「氷見獅子」は、獅子が舞うことで邪気を食べ尽くし、その獅子を最後は天狗が退治して神様に奉納するというストーリーになっています。
今年は元日から憑いた厄災を無事にお祓い出来たと思いますので来年からの巻き返しに期待したいですね!
■留学生の感想■

酸度もしっかりあって豊かな味わいが新潟にはない酒質なので非常に美味しいです。

豚肉の脂をきっちり消してくれます。
常温で飲むとつまみは要らないくらい楽しめます。
【2本目】 純米酒 大漁旗

コンセプトは気軽に飲める「コップ酒」。
氷見の漁師たちはお酒を湯呑みで飲む習慣があり、そのような何気ない日常で肩肘張らずにリラックスした気持ちで飲んでもらいたい純米酒です。
氷見の特徴でもある漁港にちなんで、豊漁で皆が元気よく活気づくようにと願いを込めて「大漁旗」と名付けられました。
こちらは、富山県福光産の五百万石を使用して65%まで磨いています。
非常にお米の旨味がダイレクトに感じられますが、日本酒度と酸度が高めのためすっきりとキリっとした味わい。
常温、冷酒、熱燗どの温度帯でも楽しめる食中酒です。
■留学生の感想■

ラベルのデザインも可愛いです。
日本酒好きが多い!富山県の酒と食

富山県の人たちは日本酒が大好き♪
特に地元のお酒を好んで飲んでおり、地酒消費率は全国でも上位なのだとか!
それもそのはず。
なぜなら富山県はお酒が進む食材の宝庫なのです!
■季節の魚介類■
春 | 鰯、サヨリ、黒鯛 |
---|---|
夏 | 鯵、トビウオ、クロマグロ、カジキ、シイラ、岩牡蠣 |
秋 | カマス、アオリイカ、ワタリガニ |
冬 | 鰤、カワハギ、スルメイカ、マダラ、ふぐ、かに |
■その他の食材■
肉 | とやま和牛 酒粕育ち、氷見牛、とやまポーク、ジビエ |
---|---|
野菜 | にんじん、大根、タケノコ、ぎんなん、五箇山合掌みょうが |
果物 | 梨、りんご、ぶどう、ふく福柿、もも、大沢野いちじく |
ご覧の通り、海辺と山間部のある富山県には四季折々の旬の食材が目白押し♪
地酒の消費率が上がるのも納得です。
また、富山県で醸される日本酒は地域によって特色の違う多様性のあるお酒とのこと。
お酒の味わいや造りは、呉羽山(くれはやま)を境に西寄りのエリアは「能登文化」、東寄りのエリアは「東京文化」に分かれており、さらに海側のお酒と山側のお酒とでは特徴もはっきりと違うのだとか。
海側のお酒は、魚介の脂をスパッと洗い流してくれるようなすっきりとした酒質。
対して山側のお酒は山菜やジビエなどに合うアミノ酸がしっかりとした味わい深い酒質になっています。
この食材の豊富さとお酒の多様性は非常に魅力的なので、是非富山県に訪れてお酒巡りに奔走したいものですね♪
【留学生で考える】日本酒「有磯 曙」に合うペアリングは?
オンライン酒蔵留学の魅力の一つでもあるディスカッションタイム!

今回のテーマは『有磯 曙に合うペアリングは?』です!!
氷見の食材に寄り添う究極の食中酒を目指している髙澤酒造場ですが、氷見の食材以外にもどのようなおつまみや料理と合わせられるのか?
髙澤社長も非常に関心を持たれていた部分を留学生みなさんで議論していただきました!
今回は珍しく?みなさん真剣に議論されていたので(笑)是非ご紹介したいと思います。
- さんまの刺身
- 油淋鶏
- 手羽中の塩焼き
- おでん
- うなぎの蒲焼
- ウニの貝焼き
- オイルサーディン
- みょうがの酢漬け
- かつおとたらこの佃煮
- ホタルイカ
- 生ハムとクリームチーズ
髙澤酒造場Q&A
今回の留学中に挙がった髙澤社長への質問を一部ご紹介します。
- 今回のお酒の酵母は何を使用していますか?
- 私の好きな金沢酵母を使用しています。
金沢酵母は、非常に穏やかなトップ香と強い含み香、しっかりとした酸が出るのが特徴で、食事に合わせやすいと思います。 - 仕込み水は軟水ですか?硬水ですか?
- やや硬水です。
ただ、今回の地震の影響で井戸水の水質に変化が生じているので改めて調べる必要があります。 - 硬水の仕込み水にミネラル豊富なあいの風が合わさると発酵が進みすぎる心配はないですか?
- 基本的には発酵が進みがちになるくらい元気です。
なので非常に気を付けて管理をしています。 - ひみ寒ブリは九州では憧れです。地元では豊富に食べれるのでしょうか?
- 準1級程度のものでしたら町のスーパーやお魚屋などで購入できます。
トロトロの脂がのった鰤の刺身が食べられますよ。
髙澤社長から皆さんへ
最後に、髙澤社長より復旧・復興の想いをお話ししていただきました。

今後も皆さんの末永いご支援が必要になってくると思います。
酒蔵の身としては、皆さんに全国各地のお酒を飲んでいただきたいです。
それと共に能登の酒蔵も頑張っているという想いも心の片隅に置いておいていただければ幸いです。
そして、立ち寄った酒販店などで能登のお酒を手に取ってもらえると嬉しいです。
最後に、北陸に訪れる機会がございましたら、曙を飲みに、寒ブリを食べに、風景を観に、富山の氷見に遊びに来てください。
蔵の方にも是非立ち寄ってください。
髙澤社長、復旧・復興、お酒造り再開直前のお忙しい中、ご出演していただきありがとうございました。
実は髙澤社長は、北陸応援シリーズ第2弾でご出演していただいた櫻田社長(石川県・櫻田酒造)の後輩にあたります。
先輩である櫻田社長がハンズオンSAKEに賛同してくれた意思を継いで今回ご出演いただきました。酒縁に感謝ですね!
まとめ
「有磯 曙」は能登半島氷見の地でなければ生まれなかったお酒。
この地元に寄り添ってきた日本酒を震災などで失うのはあまりにも惜しい。
私たちに出来ることはやはり頑張っている酒蔵の日本酒を飲んで応援すること!
また実際にその地を訪れて風土を感じることが大切だと思います。
今後も皆さんで「有磯 曙」と北陸のお酒の魅力を伝えていければ嬉しいです。
お酒造りを再開する髙澤酒造場に「曙」が到来することを願っています。
また次回のオンライン酒蔵留学でお会いしましょう♪
<次回予告>第48回 オンライン酒蔵留学 杵の川・代表取締役 瀬頭信介氏

■次回日時:10月26日(土)19:00~
■登壇者:杵の川・代表取締役 瀬頭信介氏
次回のオンライン酒蔵留学は、長崎県諫早市に蔵を構える「杵の川(きのかわ)」さんにご登壇いただきます。
日本で初めての四季醸造蔵を稼働した蔵で、沖縄の泰石酒造に四季醸造システムを届け、清酒沖縄「黎明」の立ち上げに協力した酒蔵です。
「良か人と良か酒を育む蔵」をアイデンティティとし、地元の方に喜ばれるお酒造りを目指しており、デザイナーを迎えた新しい試みや長崎県唯一の樽職人との二人三脚のお話は必見♪

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次回もハンズオンポーズで乾杯!
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