オンライン酒蔵留学とは?
オンライン酒蔵留学は、おうちにいながら地方のお酒の作り手さんとダイレクトにつながって、一緒に乾杯できる日本酒通販サービスです。
作り手さんの想いや人柄も味わうことができ、日本酒を通して「人生の学び」や「新たなつながり」が生まれます。
離れて暮らす仲間と「たのしく学ぶ」ことで、いつものお酒がさらに美味しく味わい深くなっていきます。
・酒蔵見学に行ってみたいけど、時間が取れない…
・もっと色んな日本酒の知識を増やしたい!
・日本酒好きの仲間が欲しい!
・酒蔵を応援していきたい!!
こういった想いを抱いている方には是非おすすめの場です!!
第50回 オンライン酒蔵留学

■日時:12月21日(土)19:00~
■登壇者:大納川 代表取締役 BIG BOSS 田中文悟 氏
■参加留学生:23都道府県から42名
毎年恒例!オンライン酒蔵留学の年末はこの人無くして終えることは出来ません。
“酒蔵再生請負人”日本酒キャピタル代表「田中文悟」社長!!
記念すべき50回目に、大納川(秋田)のBIG BOSSとしてご出演いただきました。
大納川は3年ぶりとなる2度目のご紹介。
初登場時から変化したことや新しい試みなど、蔵人の渡辺さんと共にお話しいただきました!

今回も田中文悟節の軽快なトーク、そして非売品・高価商品大放出の抽選会など時間を忘れるほど大盛況でした♪
大納川(だいながわ)について

大正3年(1914年)創業。
「かまくら」で有名な雪深い秋田県横手市、霜月神楽の里として知られる大森町に蔵を構えます。
蔵の歴史は古く、今から三百年ほど前、船乗りであった先祖が当地に居を構え、商いを行うとともに大正3年に酒造業を始めました。
「大納川」という名前は、二代目の備前雄太郎が戦前に貴族院議員の土田万介扇に依頼して名づけられ、地元の中心を流れる大納言川が由来となっています。
創業以来、横手の地酒として長年地元で愛され続けてきた大納川は、2018年(平成30年)に廃業の危機を迎えるも、田中社長の事業承継により新たに生まれ変わることに。

現在は田中BIG BOSS、稲上社長、佐藤杜氏を中心に「飲んで酔うだけでなく、心を酔わす酒を醸したい」という想いを掲げ、蔵人一丸となって酒造りへの情熱、そして地元の風土を込めて、
全国流通ブランド「大納川」
特約店限定流通ブランド「大納川天花(てんか)」
秋田県内限定流通ブランド「山内杜氏(さんないとじ)」
この三つのブランドを醸しています。

新体制となった大納川は、令和元年の造りより「すべてを純米造り」「すべてを瓶貯蔵」へ変更し、酒質向上、品質管理と蔵内の衛生管理に力を入れました。
これらの取り組みと酒造りの情熱が功を奏し、大納川は、令和元年と二年に全国及び東北の品評会にて五冠達成を果たします。
これにより新生大納川の名は広まり、着々と全国にファンを増やしていき、横手市大森町の地酒蔵として再び息を吹き返したのでした。
神事との縁

横手市大森町は、霊峰保呂羽山(ほろわさん)の麓、太古から伝わる国の重要無形文化財「霜月神楽」の里で有名な神事と縁の深い町。
酒造りも同じく古より神事と関係が深く、保呂羽山の伏流水を使用して酒を醸す大納川は、まさに【神舞う郷の酒醸す蔵】と言えます。
また、神事への畏敬の念は大納川のロゴにも表れており、魔除けや火除けの意味など、森羅万象を司る神々の霊妙なる働きを具体的に表した「巴紋」をモチーフに、大納川の「川」の字がデザインされています。
2つの異なる蔵付き酵母

大納川の最大の特徴が2種類の蔵付き酵母。
一つの蔵から2つの異なる蔵付き酵母が採取されるのは珍しく、大納川には「D-29」「D-121」が存在します。
蔵付き酵母とは、古くからその酒蔵に住み着いている酵母のこと。
昔から“芳醇な清酒が醸造される醸造場には優良な蔵付き酵母が存在する”と言われてきたほど蔵の財産でもあります。
大納川の蔵付き酵母は、もともと蔵での重要性が低く使用が控えられていましたが、田中BIG BOSSが蔵入りした際、その素晴らしさに着目し、商品化することに至りました。
D-29は、リンゴの果実味あるカプロン酸エチル成分の香りが特徴で甘口のお酒に使用されます。
D-121は、洋ナシのようなフレッシュな香りが特徴で、主に辛口のお酒に使用されます。
今後、大納川のお酒を味わう際には是非この2つの酵母の違いにも注目して楽しんでみてください!
山内杜氏が指揮する秋田流寒仕込

大納川の酒造りを指揮するのが山内杜氏の「佐藤好直(よしなお)」氏。
山内杜氏とは、明治末期から大正時代にかけて結成された山内村(現横手市山内)出身の杜氏集団。
厳寒下で鍛えられた山内杜氏の技術向上の精神は強く、その活躍は県内だけでなく県外にも及びました。
戦前には中国、韓国、樺太などに派遣された記録が残っています。
大納川では伝統の秋田流寒仕込で酒造りが行われています。
これは秋田流長期低温醗酵といわれる秋田の気候風土を上手に利用した醸造方法です。
秋田流寒仕込の酒造りは冬の到来とともに始められ、最も寒い時期に最盛期を迎えます。
寒冷降雪期のこの時期は雪により空気は綺麗に浄化され、その雪に埋もれた蔵は、酒造りに最も適した室温が一定に保たれます。
そのため酒質が安定した美味しいお酒が出来上がるのです。
この秋田流寒仕込と佐藤杜氏の確かな技術によって大納川の美酒は醸されています。
分かりやすい商品ラベル

特約店限定流通ブランド「大納川 天花」。
北国の澄んだ空気の中に降る雪は、天から舞い落ちる花にたとえられ「天花」と言われ、無濾過原酒、少量生産及び小仕込みで醸造されているシリーズ。
「大納川 天花」の特徴はなんといってもこの分かりやすい商品ラベル!
りんごやパイナップル、バナナといった味わいや使用米の特徴が一目で分かるようになっています。
それぞれには「純米吟醸 無濾過生原酒 ~」のようにスペックが設定されていますが、それでは日本酒を難しいものにしてしまい、日本酒に触れる機会が少ない方に浸透しないとのことで田中BIG BOSSの考案により分かりやすいラベルとなりました。
この商品ラベルのブランディングの効果は発揮されており、お客様から「りんごちょうだい!」「バナナください!」などと天花を求める声があるそうです。

令和6年度に造られる「大納川 天花」の発売スケジュールは上記のようになっていますので是非お好みの商品ラベルを見つけてみてください♪
ちなみに今期の酒造りのスローガンは「気配り、目配り、心配り」です。
蔵人一丸となって地元の風土とともに心を酔わすお酒を私たちに提供してくれることでしょう!
【大納川】
〒013-0521
秋田県横手市大森町字大森169
TEL:0182-26-2004
HP:https://dainagawa.co.jp/
オンラインショップ:https://dainagawa.thebase.in/
大納川を再生させたBIG BOSS「田中文悟」とは?

2018年、大納川の廃業危機を事業承継という形で救ったのが「株式会社日本酒キャピタル」代表の田中社長。
大学卒業後、アメリカンフットボール社会人強豪チームであるアサヒビールシルバースターの一員としてアサヒビール株式会社へと就職。
営業職も行う中、多くの日本酒蔵の蔵元と出会い、その現状を耳にする度、胸が痛くなりました。
自身の経験が役に立つのであればと2010年に酒蔵事業再生会社を立ち上げ、12の酒蔵を再建。
その後、自分自身のスピード感、リズム感で事業展開を行いたく、2021年9月に日本酒キャピタルを創業。
「街から酒蔵の灯を消さない。酒造りは街造りである」という信念の下、地域経済の活性化、日本酒の市場拡大を命題に、“この人生は日本酒蔵と共に”と覚悟を決めて酒蔵再生事業に取り組んでいます。

現在、大納川をはじめ、各地の酒蔵を運営し、都内で飲食店も経営するなどフライングオーナーとして全国を飛び回る日々を過ごしている傍ら、能登半島地震の支援やユネスコ無形文化遺産登録後のイベントなどいち早く日本酒の提供及び拡散に取り組んでいます。
大納川との出合い
酒蔵を再生させたいという志の下、長年多くの酒蔵に携わってきた田中社長ですが、株式会社JFLAの役員から離れる際、別の事業に関わりたいという想いで一度酒蔵の仕事から身を引いたことがあります。
大阪で運送会社の社長となり、畑違いの業種ながら順調に経営再生をする日々を送っていました。
そんなある日、秋田県の銀行から一本の電話が入ります。
『大納川の経営が厳しいため力を貸してほしい』
もともと秋田の「阿櫻酒造」に携わっていた田中社長にとって同じ秋田の酒蔵の経営危機は他人事ではなかった。
酒蔵再生の仕事を離れ、別事業に携わる中でもやはり心のどこかに“酒蔵の仕事をしたい”という想いが残っていた田中社長。
『この人生は酒蔵と共にあるんだなぁ』
と再び秋田に舞い戻り、大納川の事業承継を決意するのでした。
大納川の代表取締役社長に就任した田中社長は、酒質の向上、設備投資や衛生管理、従業員の指導など酒蔵再建に尽力し、事業承継から2年目で清酒品評会五冠を達成します。
この五冠達成の偉業は、地元の人々から感謝されるほど各メディアから横手市大森町をフォーカスさせました。
こうして田中社長、蔵人たちの力によって大納川は地元のシンボルとして再び親しまれるようになったのです。
そして、2022年、当時副社長であった稲上社長が取締役社長に就任するにあたり、田中社長は代表取締役BIG BOSSへと就任。
BIG BOSSとして大納川をどのように展開していくのか今後の活躍に期待が高まります!
※過去に掲載した田中社長の紹介記事はこちらからご覧いただけます!
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地元の憩いの場「大納川珈琲」オープン!

大納川の躍進はまだまだ止まりません。
2024年7月19日、蔵の隣町である大仙市に「大納川珈琲」をオープン!!
観光客が多く訪れる国登録有名文化財「旧本郷邸住宅」の目の前の建物を自社でリノベーションし、地元の憩いの場として新たなに大納川の魅力を発信しています。

広々とした店内ではゆったりとした時間を過ごすことができ、地元の方々や観光客のランチタイムやティータイムにぴったり♪


メニューも豊富で、イタリア・ムセッティ社のコーヒーをはじめ、地元B級グルメの横手焼きそばや焼きナポリタン、一日5食限定のBIG BOSSカレーなどが人気。
他にもクレームブリュレや抹茶プリンなど本格的なスイーツも絶品!
また、蔵から直送されてくる大納川の日本酒もいただくことが出来るのも蔵元直営ならではの魅力です!
今後は日本酒も販売できる小売スペースの提供もあるようなのでお土産に大納川の日本酒はいかがでしょうか♪
大納川珈琲は蔵から車で10分の場所にあるので、酒蔵見学とともに是非足を運んでみてください。
【大納川珈琲】
〒014-1413
秋田県大仙市角間川町字東中上町36
TEL:050-8881-0781
BIG BOSSの大盤振る舞い♪3種の「天花」で乾杯!!

【1本目】 大納川 天花 杉玉ラベル(純米吟醸 無濾過生原酒 初しぼり)

天花シリーズ新酒第一号・初しぼりの杉玉ラベル!
通常このオンライン酒蔵留学では、300ml若しくは180mlのサイズでご提供いただくのですが、今回なんとBIG BOSSの粋な計らいで720mlをご用意いただきました!!
令和5年の造りより飯米での酒造りに挑戦し、今期も継続して地元産「あきたこまち」を使用しています。
その特徴を活かしたジューシーな味わいと軽快な酸、後には旨みとほのかな甘さが広がる初しぼりに仕上がりました。
ぴちぴちとしたフレッシュな口当たりを是非楽しんでください。
これまでこの杉玉ラベルはマリモと間違えられることが多かったため、今期より屋根を追加してしっかり杉玉感を出しました(笑)
【2本目】 大納川 天花 炎ラベル(特別純米 無濾過生原酒 辛口)

大納川の蔵付き酵母は辛口にできないの??という声にお応えすべく、自慢の酵母D-121で仕込んだ一本。
純米吟醸系が多い天花の中でも、こちらは「あきたこまち」60%磨きの特別純米です。
ただ辛いだけではなく、口に含むと広がる優しい米の味わい。
あら?これ辛口?と思うようなやわらかさ。
あとからじわ〜っと+11の辛さが追いかけてくるまさに炎のような旨辛のお酒に仕上がっています。
天花は甘口だけではないということを是非その舌で感じてみてください!
【3本目】 大納川 天花 ハートラベル(純米吟醸 無濾過生原酒 秋田酒こまち)

大納川天花シリーズのエース酒、ハートラベルの新酒!
秋田の酒蔵すべてが愛用している好適米「秋田酒こまち」を使用し、蔵付き酵母D-29によって華やかな酒質となっています。
今期はすっきりとしたクリアな味わいでほんのり甘く、スーッと爽やかにキレのあるお酒に仕上がりました。
蔵を支えるエースのお酒だけに、蔵人も特に気合を入れて造りあげている一押しの逸品です。
ちなみにハートラベルの由来は、キャンディーズの代表曲「ハートのエースが出てこない」がモチーフとなっています♪
大納川Q&A
今回の留学中に挙がったBIG BOSSへの質問を一部ご紹介します。
- 大納川の蔵の“らしさ”を教えてください。
- お酒に関しては甘くてキレのある味わいを意識しています。
一番大切にしているのはファンづくりです。そのためには蔵人全員の顔が見えるような会社力やキャラクター性を出していくのが大納川らしさだと思います。 - 大納川さんではにごり酒やうすにごりのラインナップはありますか?
- 天花シリーズに「ささにごり」のお酒があるので発売したら順次ご案内させていただきます。
その他、天花の活性にごりのSparklingもあります。 - 営業職を経験したBIG BOSSから見た、優秀な人材の見分け方はありますか?
- 私自身、お酒だけではなく畑違いの業種も経験しましたが、やはり最終的には人にどう好まれるかだと感じました。
蔵人にも酒造りだけではなく、キャラクターを理解してもらってファンづくりを意識するように伝えています。
まとめ
一度は酒蔵存続が危ぶまれた大納川。
しかし、酒蔵の灯を消したくなかったBIG BOSSと美味しいと思ってもらえるお酒を造りたいと思い続けた蔵人によって見事に再建を成し遂げます。
大納川一同にあったのは、ただ酒造りで大森町に貢献したいという想いだけでした。
再び地域に親しまれる地酒蔵となった大納川は、BIG BOSSの信念である【酒造りは街造り】を体現した酒蔵と言えるでしょう。
今後も大森町の風土が感じられる大納川“らしさ”に期待が高まります♪
今回もご参加いただきありがとうございました!
また次回のオンライン酒蔵留学でお会いしましょう♪
<次回予告>第51回オンライン酒蔵留学 日吉酒造店 五代目蔵元 「日吉智」氏

■次回日時:1月25日(土)19:00~
■登壇者:日吉酒造店 五代目蔵元 「日吉智」氏
2025年最初のオンライン酒蔵留学は日吉酒造店(石川県輪島市)をご紹介!
日吉酒造店さんもまた昨年の元日に起きた能登半島地震の被災蔵。
土蔵の崩壊やタンクの故障などにより県内県外での共同醸造を余儀なくされるほどの甚大な被害を受けました。
震災から1年が経ちましたが、まだまだ復興もままならない現状を風化させてはいけない。
私たちが出来ることはやはり「飲んで応援」!!
日吉酒造店さんの想いなどを学ぶ機会としましょう!

つくり手さんと「つながる」
つくり手さんの想いを「のぞく」
自分たちの世界観を「ひろげる」
次回もハンズオンポーズで乾杯!
※過去のレポート記事はこちらから!!