日本酒豆知識シリーズ
『日本酒は好きだけど詳しくはあまり知らない…』
『もっと日本酒のことを知りたい!』
そんな方のためにご用意したのがこちらの日本酒豆知識シリーズ!!
日本酒は奥が深く、知れば知るほど面白くて好きになっていきます♪
意外なことからちょっと自慢したくなるようなトリビアまで様々な豆知識をご紹介していきますので、是非今後の日本酒ライフの参考にしてみてください!
今回の豆知識は【瓶内二次発酵】について!!
瓶内二次発酵とは、スパークリング日本酒を造る際の醸造方法の一つです。
本記事では、瓶内二次発酵の特徴や魅力、他のスパークリングとの違いについて詳しく解説します。
スパークリング日本酒と瓶内二次発酵について
スパークリング日本酒とは
スパークリング日本酒とは、炭酸ガスを含む日本酒のことで、「発泡日本酒」、「スパークリング清酒」と呼ばれることもあります。
通常の日本酒に比べると、アルコール度数が低く、甘口のものが多いため、普段日本酒をあまり飲まない方や女性の方に日本酒の入り口としておすすめです。
また、飲み切りやすいサイズのものが多く、パッケージもつい手に取りたくなるようなデザインが多いため、BBQなどのレジャーシーンやホームパーティーなど気軽に楽しめるのも魅力的♪
2016年には、スパークリング日本酒を醸す日本各地の蔵元で構成された一般社団法人「awa酒協会」が設立され、厳格な品質基準と第三者機関での検査をクリアした銘柄だけを「AWA SAKE」と認定し、その品質向上と普及促進、市場の拡大を目的として活動しています。
今やスパークリング日本酒は単なる発砲清酒ではなく、世界に認められる乾杯酒「AWA SAKE」として進化を遂げているのです!!
瓶内二次発酵とは
瓶内二次発酵とは、スパークリング日本酒の醸造技術の一つ。
発酵中の醪(もろみ)を粗く搾り、火入れせずに生の状態のまま瓶詰めし、瓶内でさらに発酵(二次発酵)させ、炭酸ガスを発生させる方法です。
これは、スパークリングワインのシャンパーニュと同じ方法で、自然の力でガスを発生させるため高い技術力が求められます。
日本酒においてもきめ細かくまろやかな炭酸となるのが特徴です。
炭酸ガス注入日本酒と瓶内二次発酵との違い
スパークリング日本酒の炭酸ガスの発生方法には以下の2種類に大きく分類されます。
・瓶内二次発酵
・炭酸ガス注入
その他、「活性にごり」、「タンク内二次発酵」などの方法もあり、その特徴も様々ですが、ここでは【炭酸ガス注入】と【瓶内二次発酵】の違いについて解説していきます。
ちなみにタンク内二次発酵については、岩手県の「世嬉の一酒造」さんの記事で解説していますのでそちらも是非ご覧ください!!
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製造方法の違い
【炭酸ガス注入】
炭酸ガス注入は、その名の通り、出来上がった日本酒に人工的に二酸化炭素を注入して炭酸を作ります。
一般的な炭酸水や炭酸飲料などと同じ方法です。
既に醗酵が終わっている状態のため管理が容易で、品質も安定しているので常温保存も出来ます。
炭酸ガス注入タイプは、原材料欄に「炭酸ガス」などと表記されているのでお店などで選ぶ際に判別しやすいです。
【瓶内二次発酵】
瓶内二次発酵は、発酵途中の醪(もろみ)を搾り、発酵の続きを瓶内で行います。
瓶を密封させた状態でアルコール発酵が続くと、そこで発生した炭酸ガスによってガス圧を高めることができ、シュワシュワとしたスパークリング日本酒に仕上がります。
製法としてはスパークリングワインのシャンパーニュと同じ原理です。
瓶内二次発酵で造られたスパークリング日本酒は、一般的に澱(おり)が混ざったうすにごりのものが多いですが、近年では澱抜き(澱引き)と呼ばれる工程を取り入れて透明なスパークリング日本酒も造られています。
味わいと泡の質の違い
【炭酸ガス注入】
炭酸ガスの注入度合いを調整することが可能なため力強い泡感やスッキリ爽やかな口当たりのものまで幅広い表現が可能です。
【瓶内二次発酵】
瓶内二次発酵で発生される二酸化炭素が日本酒に溶け込むためキメが細かく、まろやかで優しい泡になるのが特徴です。
包み込むような口当たりのため上品で高級感ある味わいが楽しめます♪
瓶内二次発酵の歴史
現在では、スパークリング日本酒の醸造技術として代表的となっている瓶内二次発酵ですが、その先駆けとなったのが1998年(平成10年)に宮城県の一ノ蔵から誕生した「すず音」です。
1982年、一ノ蔵の三代目社長がヨーロッパへ視察旅行に行った際、ワインのようなビール、そしてビールのようなワインと出会い、“日本酒もこのように日本酒らしくない多様性のある飲み方があっても良い”と考えを改めさせられました。
帰国後、まずは低アルコール酒の開発が始まり、1988年に「ひめぜん」が発売されます。
その後、発酵による炭酸ガスによって発泡感を持たせるための開発が始まり、誕生したのが低アルコールで発泡性のある「すず音」です。
すず音は発売以降、瞬く間に人気となり「スパークリング日本酒=すず音」となるまでに代表的な存在となりました。
「すず音」によって確立された瓶内二次発酵ですが、日本酒製造の技術の発展に伴い、さらに進化することになります。
2008年(平成20年)に群馬県の永井酒造が日本初の『液体が透明』なスパークリング日本酒「MIZUBASHO PURE」を誕生させました。
「世界に通用する日本酒を創る。」というテーマを掲げて10年、数百回にも及ぶ試行錯誤のもと、繊細な泡と沈殿物が全くない澄んだ発泡清酒を開発。
チェリーやライチの香味を持ち、シルキーな泡が妖精のように料理を包み、世界のトップシェフ達が「初めての食感」と驚嘆する逸品へと仕上がったのです。
こうして瓶内二次発酵によるスパークリング日本酒は、技術の向上と共に進歩していき、日本酒にしか表現できないスパークリングとして世界から注目を浴びています!
瓶内二次発酵で造られた日本酒の楽しみ方
瓶内二次発酵で造られたスパークリング日本酒は、カジュアルに飲めて親しみやすい反面、取扱いに注意が必要で非常に繊細なお酒です。
適切な温度管理や保存方法などを知り、相性の良いおつまみと共にスパークリング日本酒を存分に楽しみましょう!
開栓時の注意点と適切な取り扱い方法
瓶内二次発酵タイプは、瓶内で発酵が続いており、ガス圧が高まっているため瓶の温度が上昇したり強い衝撃を受けると“瓶が割れてしまう”または“蓋が飛ぶ”危険性があります。
スパークリング日本酒を保管する際は冷蔵庫で静かに冷やし、開栓時は泡が吹き出さないように様子をみながらゆっくりと開ける必要があります。
ちなみに冷蔵庫内では振動の多いドアポケットを避け、衝撃の少ない「縦置き」で保管するのがベストです。
ペアリング
甘めでさっぱりとした発泡感が味わえるスパークリング日本酒には、ピザやパスタなどの洋食系、フライドポテトなどのスナック系と合わせるとまず間違いないでしょう!!
また、焼き鳥や新鮮な刺身などの和食にも相性抜群です!!
■アンチョビとバジルのピザ■
アンチョビの塩味とバジルの香りをスパークリング日本酒が優しく包み込んでくれて見事なマッチングを演出してくれます♪
■トマトクリームパスタ■
濃厚で酸味のあるトマトクリームパスタはスパークリングとの相性抜群♪
甘みのある日本酒がパスタの味わいと調和し、シュワシュワとした泡が口の中をさっぱりと洗い流してくれます。
■焼き鳥(塩味)■
焼き鳥は塩が少し多くかかっている方が、スパークリングのシュワシュワ感とマッチしますよ♪
■ゴーヤのおかかポン酢■
一見、珍しいペアリングですが、ゴーヤの苦味と甘口のお酒が対称的な味わいだからこそ、口の中でハーモニーを奏でてくれます♪
そしてこのおかかポン酢で、うまく酸味と旨味が混ざっていて、まさに苦味・甘味・酸味・旨味の四味一体を感じられるスペシャルなおつまみです!
おすすめの瓶内二次発酵日本酒
東鶴酒造:東鶴 蝉しぐれ スパークリング生
使用米 | 山田錦(等級外) |
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精米歩合 | 55% |
アルコール度 | 14度 |
日本酒度 | −4 |
酸度 | 2.2 |
おすすめの温度帯 | 冷酒(キンキンに冷やして) |
佐賀県多久市に蔵を構える東鶴酒造のシーズンシリーズの限定酒。
多くの蝉が一斉に鳴き、共鳴し、夏の訪れを知らせてくれる「蝉時雨(せみしぐれ)」。
そんな夏にふさわしい爽やかな味わいのスパークリングです。
開栓するとシュワっとガス感とともに泡が吹き出しそうになるほど生き生きとした印象で、少し落ち着かせてグラスに注ぐと、きめ細かい泡立ちを見せてくれます。
口に含むと爽やかな香りが立ち込め、東鶴らしいジューシーな旨口の味わい。
そして、微細ながらも力強い発泡感を感じられ、プチプチとした酸が爽やかな後味をもたらしてくれます。
躍動感ある喉越しは、夏の乾いた喉を潤してくれて爽快な気分にさせてくれる一本です♪
※東鶴酒造、野中社長の紹介記事はこちらから!
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大納川:天花 純米吟醸 Sparkling(活性にごり)
使用米 | 秋田酒こまち |
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酵母 | 蔵付き酵母D-29 |
精米歩合 | 55% |
アルコール度 | 15度 |
日本酒度 | +8 |
アミノ酸度 | 1.0 |
酸度 | 1.6 |
大納川は、横手盆地の北西、霊峰保呂羽山(ほろわさん)の麓で1200年前から伝わる国の重要無形文化財「霜月神楽の里」、秋田県横手市大森町にある“神舞う郷の酒醸す蔵”です。
代表銘柄「天花」は、北国の澄んだ空気の中に降る雪が天から舞い落ちる花に例えられることから由来。
そんな繊細さを表現したSparklingは、留麹に「あめこうじ(CK33)」を使用することで、天花らしいほのかな甘みが表現され、瓶内発酵で生まれる炭酸とバランスよくマッチした活性にごりに仕上がっています。
ちなみに「活性にごり」は瓶内二次発酵の一種で、醪(もろみ)に火入れせず、粗く濾過を行い、酵母が生きたまま澱ごと瓶詰めしたお酒です。
荒く濾しているため、液体中の固形分が多く、日本酒の色は白濁しており、ガス感が強いのが特徴。
天花 Sparklingも澱が瓶内で舞う姿は幻想的で、甘口ながらもシュワシュワぴちぴちとした元気な発泡感が程よい切れ味を出してくれています。
乾杯酒としては勿論のこと、食中酒をはじめ幅広いシチュエーションで楽しめるお酒です。
※大納川、田中社長の紹介記事はこちらから
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天山酒造:天山 スパークリング
使用米 | 非公開 |
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精米歩合 | 非公開 |
アルコール度 | 13度 |
おすすめの温度帯 | 冷やして(13~16℃) |
代表銘柄「七田」「天山」で知られる天山酒造は佐賀県小城市に蔵を構えます。
北は天山山系がそびえ、南は有明海に面した自然豊かな土地で140年以上もの間酒造りを続けてきました。
天山スパークリングは、酒造好適米を蛍の名水として知られる天山の湧き水で醸しあげ、じっくりと瓶内二次醗酵をさせ澱引きさせた【awa酒】に認定されているスパークリング。
熟練の蔵人の高い技術と技で、ひとつひとつ丁寧に造る「Dosage Zero」(ドサージュ・ゼロ)のスパークリング日本酒は、お米本来のピュアな味わいを生かした新しいスタイルのお酒です。
心地の良い桃や白桃を思わせる香りが広がり、エレガントで繊細かつ女性的な柔らかい口当たり。
お米の旨みを感じつつドライな後味は控えめながらも心地よい味わいです。
晴れの日に乾杯のお酒として、またお食事と共に楽しむお酒として是非!!
※天山酒造、後藤杜氏の紹介記事はこちらから!
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瓶内二次発酵に関するFAQ
- 開封後のスパークリング日本酒の保存方法を教えてください。
- 開封したスパークリング日本酒は、しっかり栓をして縦置きで冷蔵保存すれば数日間は本来の味に近い状態を楽しむことが可能です。
しかし、他の日本酒と同様に空気に触れてしまうと酸化し、風味が損なわれてしまい炭酸も抜けてしまうので、出来れば早めに飲み切ることをおすすめします。 - 瓶内二次発酵は英語で何と言いますか?
- secondary fermentationと表現します。
- 日本酒における瓶内二次発酵はいつからあるのですか?
- 古くは明治から大正にかけて「泡沸性飲料製造」の研究がされ、1934年(昭和9年)には、醸造学者の中島文雄が「清酒又ハ清酒代用飲料製造方法」として瓶内二次発酵タイプの製造方法を特許申請しています。
まとめ
瓶内二次発酵は、発酵途中の醪(もろみ)を粗く搾り、酵母が元気な状態で瓶詰めし、瓶内で二次発酵させるスパークリング日本酒の醸造技術のことで、シルキーできめ細やかな泡とまろやかな炭酸が特徴です。
現在は醸造技術の進歩により、瓶内二次発酵タイプだけでも様々なスパークリング日本酒が販売されていますので、酒蔵の個性と技術を感じながら飲んでみるのも良いかもしれませんね♪
是非今回の豆知識を活かしてスパークリング日本酒を楽しんでみてください!!
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次回もハンズオンポーズで乾杯!